まるで狂ったような速さを。
トライアスロンレースは過酷だ。
曲がりくねった、起伏のある、灼熱の112マイルの道のりを、暑さと湿気の中で汗を流し、苦しみながら進むのだから。道中、常人では想像つかないほど筋肉を酷使し、苦悶の叫びをあげる。
肺は悲鳴を上げながらライダーの中で猛烈に燃え上がり、その忍耐を試すかのように燃え続ける。

―だからトライアスロンレースは美しい。

振り返るまでもなく、ライバルを刹那に抜き去り、決して追いつかれることはなく。
フィニッシュラインを通過し、勝利を手にする。自己ベストを更新し、レースに熱狂する観衆の前で勝利を手にする。
ライダーは、自分の今に至るまでの代償に酔いしれながら、その疲労に幸福を見出す。
そして、夢にも思わなかったスピードで走ることに誇りを感じるのだ。

トライアスロンという特殊な坩堝の中で、自分の目標を超えたいのなら。速いだけではだめだ。 クレイジーな速さでなければならない。
レースから産まれた、
チャンピオンのためのバイク
FELT Bicyclesのルーツは、トライアスロン史の最も深い所に、分かつことができないほど深く刻まれている。
1980年代後半、創業者であり社名の由来でもあるジム・フェルトは、モトクロスレースのトップブランドやトップアスリートの世界的なメカニックとして活躍していた。
当時のモトクロスチャンピオン、またモトクロス競技に厳しいフィットネスを取り入れたパイオニアでもあるジョニー・オマラは、ジム・フェルトにトライアスロンバイクの製作を依頼した。
当時フェルトは、彼自身もトライアスロン選手でもあった。

これを契機に、世界最速のレーシングバイクを作りたいという彼の情熱が燃え上がる。
1991年、ジム・フェルトは、ライダーのポジションと自転車のエアロダイナミクスを最適化するためのイノベーティブなデザインの数々を実践し、フェルト・バイシクルズの真の起源を築き上げた。
南カリフォルニアの自宅ガレージで、コナ・トライアスロンで3度の優勝を誇るポーラ・ニュービー=フレーザーのために、革新的なバイクを製作。
マットブラックのステルス仕上げで「B2」と名付けられたこのバイクは、先進のアルミチューブ構造で軽量化と高剛性による最高のペダリング効率を実現。
しかし、このバイクの最も注目すべきポイントは、トライアスロンという特殊な競技のために最適化されたジオメトリーであることだ。
ライダーの空力効率を最大限に高めながら、112マイルを走るための十分に快適なポジションを実現し、その直後のランのために体力を温存することができるジオメトリー。
それは、アスリートの走りを最適化する画期的なアプローチだった。

アスリートのスピードをレースという特定の分野に最適化する―この原始体験がその後のFELTバイクを作り上げていくエソロジーとなる。
それ以来、FELTのバイクはすべて、この理念に基づいて作られている。ポーラは、このFELT B2に乗って、その年のコナ大会で4度目のトライアスロン世界選手権を制覇。ジムのデザインコンセプトを証明し、FELT Bicyclesブランド立ち上げへの道を開くことになる

その後20年以上、FELT Bicyclesに関わるエンジニアとエアロダイナミクスの専門家は自転車エンジニアリングの果てを追いかけ、人力におけるスピードの夢を追い求め、夢中で走り続けた。その結果、今や伝説となったトライアスロン・スーパーバイク“IA”が誕生した。
革新的なトライアスロン用レースバイクであり、その後のマルチスポーツ用レーシングマシンのベンチマークともなった。
世界選手権等のビッグタイトルの数々において、偉大な実績を積み重ねてきた伝説級のバイク―
もちろん、IAが伝説へと至るまでの成功は、ダニエラ・リフやミリンダ・カーフレーといったトップスター選手たちの活躍だけではなく、数多のFELTライダー達が達成した数え切れないほどの勝利のおかげなのは言うまでもない。

FELTとメンタリティを共有し、速さを追い求める情熱溢れる競技者たち。
FELTもまた、彼らと同様、決して現状に満足することなく、さらなる高みを目指していくだろう。
もっと、速く行こう。
Meet The IA2.0。
天井知らずのエアロダイナミクス
速く走るためには、エアロダイナミクスを向上させなければならない。しかし、それは口で言うほど簡単なことではない。あなたがトレーニングやレースを行っているこの時代は、まさに自転車開発と競技パフォーマンスの黄金時代だからだ。

ライバルに差をつけるのはせいぜいわずかなことで、勝敗は秒単位で決まる。
だから、ハードなトレーニングだけでなく、スマートなトレーニングを行うのだ。レースのあらゆる場面で自分の身体がどのように機能するか、細部にまでこだわったトレーニングを行う。
―水中、バイク、ラン、そしてトランジション。FELTバイクの最大の目的は、スピードを妨げる制約からあなたを解放することだ。

なぜなら、あなたはきっと自分の身体と同じように、道具にも狂おしいほどの速さを求めるだろう―

オリジナルのIAレースバイクは、エアロダイナミクス効率と翼型設計の全く新しいパラダイムを切り開いた名機だ。IA2.0は、それを再現する。その革新的なデザインと印象的なシルエットは、機能に基づく形状の現時点での最高到達点を示している。

結論。IA2.0は、前モデルよりさらに4%高速化された。
体感できるほどに速くなっているのだ。
以下のパーセンテージは、特定のヨー角範囲における新型IA 2.0と先代IAの空気抵抗の測定値を(フレームに)加重せずに比較したものだ。

-20度から20度= 1.9%速い
-12.5度から12.5度=4%速い

この結果は、それ自体が非常に重要であるだけでなく、現代の空力研究によるとライダーはその大半の時間(ライド時間の内~90%)、ヨー角12.5度(正または負)の中でライディングするという事実からも驚異的な性能向上であることが分かる。
そしてこの前提(ライド時間の90%をヨー角±12.5度)は、あくまで単独走である場合のため、実際の走行環境によってはより当該ヨー角で走る時間比率が長い可能性があることも付け加える。
さらに、IA2.0は先代よりも速いだけでなく、ディスクブレーキ採用、ライドクオリティ、ハイドレーションシステムを含む、より多くのストレージオプション、優れたハンドリング、そして限りないフィッティングの自由度を備えている。

IA 2.0は、FELTがこれまで作った中で最速のバイクだ。

―そう、あなたが最速の自分になるための。
自然体なフィット感
あなたが速くあるためには、あなたのフィットネスレベルが仕上がっていなければならない。
果てしない時間のトレーニング量と限りない代償によってのみ、あなたの身体は掴む栄光のために研ぎ澄まされる。しかし、トライアスロンのミドルスプリットで優れたパフォーマンスを発揮するためには、もう1つのタイプのフィットネスが不可欠だ。
つまり、バイクのフィッティングだ。アスリートの身体は、数えきれないほどのトレーニング、幾月にもわたる他者との競い合い、そして何シーズンものレースでの試行錯誤を繰り返し、その果てに独自のライディングポジションにたどり着く。これはトライアスリートが成功するために必要なことであり、決して粗悪な機材に制約されるべきものではない。
IA2.0は、FELT Bicyclesが30年にわたりバイクのフィッティングにこだわり続けてきた結果、これまでのバイクの中で最も広いフィッティング幅を持っている。
そのため、バイクフィットのあらゆる面を自由に調整することができ、可能な限りのパワーを発揮し、可能な限りのエアロポジションを実現することが可能だ。
特に、全く新しいダガーダイレクトフロントエンドシステムは、他の追随を許さないカスタマイズの選択肢を提供する。ライザーバーアセンブリは幅と角度の両方が、エクステンションは幅と長さが調整可能。またアームレストホールドは、幅の調節に加え、前後方向の調節ができる。しかし、最も注目すべきは、ベースバー・グリップの高さが調整可能であることだろう。
またIA2.0のフロントエンドは、他のブランドの複雑すぎる専用システムとは異なりほとんどのアフターマーケットシステムに適合させることができるため、ライダーそれぞれが望むベースバーやエクステンションを装着することができることも書き加えておく。

どのようにバイクと繋がりたいかというライダー個々の想いを叶えながら、IA2.0は乗り手がスピードを追求するための枷を取り払う。
障害知らずの互換性
自分のバイクで、自分のやり方で―

あなたが成功するために何が必要なのかは、あなたがきっと既に知っている。
レース当日の身体のための必要な準備、集中力を高めるための心が求める準備、そして各装備に求められる機能。
バイクフィッティングがユニークであるように、ダイナミックなレースコースで、起伏のある道、急なコーナー、急な下り坂にどう対応するかが、あなたの潜在能力を最大限に発揮するカギとなる。
機械式か電動式を好むのか、チェーンリングは1枚か2枚か、ギアを磨くことに喜びを感じるのか、レースコースの地形に合わせてギアを調整するのが好きか。
これらすべての要素において、バイクはカスタマイズの妨げになるものであってはならない。
IA 2.0は、FELT Bicyclesがこれまでに作ったトライアスロンバイクの中で最も高度なインテグレーションを実現し、あらゆるドライブトレインを搭載することができる。
電動でも機械式でも、1xでも2xでも、どのような構成でも大丈夫。
IA 2.0のユニークなフロントエンドには、SRAM BlipBoxコントロールユニットまたはシマノDi2ジャンクションを安全にしまうためのカバーが装備されている。
2xドライブトレインがお好みなら、42Tまでのインナーリングが使用可能。
1xを選択するのであれば最大52Tのチェーンリングを使用でき、流線型のFDプレートを取り付けることで余分なフロントディレイラー台座を省き、わずかであっても空力向上に貢献する。
しかし、フロントエンドの高度なインテグレーションのもたらすすべてのメリットも、バイクの修理、調整、また移動時の携行が困難であれば台無しになる。
だからIA2.0のケーブルマネジメントシステムは、直感的に操作でき、シンプルで、素早く分解してトラベルケースに収納できるようになっている。スピードは、コース上だけでなく、レース日の準備のあらゆる面でも重要だから。
ストレスフリーの
コンタクトポイント
集中力がスピードを生む―

あなたの身体が達成しうる最速のバイクスプリットを生み出すには、一切の心配や気の迷いを排除し、出力を捻り出すのに集中する必要がある。
そのためには、身体とバイクをつなぐ接点、特にサドルが非常に重要だ。
トライアスリートによってサドルに求めるものは異なるが、最高のパフォーマンスを発揮するためには確実なサドルポジションとストレスフリーなペダリング体験が求められる。
特許取得済みのInternaLoc 2.0シートポストクランプシステムは、比類ない安全性と調整幅、そして快適性を実現。特にこのIA 2.0に装備されたものは、これまでで最も進化したInternaLocシステムだ。
そのデュアルボルトクランプ機構は、このサイズのエアロポストでライディングポジションの細かな微調整を可能にしつつ、実際の乗車時に確実に固定されることを実現している。
また新たに採用されている共成型のスリーブもシートポストの確実な固定に一役買い、従来よりも細かく調整されたカーボンレイアップにより、高周波の振動を大幅に軽減、これまでのFELTトライアスロンバイクの中で最も滑らかな乗り心地を実現した。
無制限のストレージ
競技の熱の中では、あらゆるものを素早く手元に用意できる必要がある。

先代IAでは、画期的なチューブマウント型ストレージシステム「CALpac」を搭載していたが、IA2.0ではそれを再構築した。

0.2リットルという大容量で、1日分のエナジージェルや栄養バー、その他小物などを収納できる。
また、上部に設けられたアクセススロットは、必要な内容物を素早く取り出せると同時に残りのアイテムやゴミを固定することができるなど、あらゆる面でスピード感を追求している。
そしてフリップアップ=コネクターボルトでトップカバーを固定することで、レース前にストレージコンパートメントにレース物資を入れる作業をスピーディーに行うことも可能だ。




レース当日のパフォーマンスに栄養補給は重要だが、適切な水分補給なしには何もできなくなってしまう。だから、IA2.0は、これまでで最も汎用性の高いハイドレーションシステムを搭載している。
全く新しいTHIRSTpacハイドレーションモジュールは、トップチューブに沿ったCALpacストレージコンパートメントの下に位置し、最大0.9リットル(30オンス)の水やレース当日のスペシャルドリンクを入れられる。
各フレームサイズに合わせて作られた同サイズのリザーバーは、トライアスリートがどのようなフレームサイズでレースに出場しても、同じ容量の水を確保。
飲水用ストローはTHIRSTpacからバイクのコックピットまでつながっており、路面から目を離さず、エアロポジションをキープしたまま、すぐに飲水することができる。
また、クイックフィルポートを装備しているので、エイドステーションで瞬時に飲料を給水することも可能だ。
そして何より重要なのが、THIRSTpacはIA2.0のエアロダイナミックパラダイムと連動して設計されていることだ。ハイドレーションのすべての機能をフレームに完全に統合しつつ、そのエアロダイナミクスによるスピードは一切犠牲になることがない。
IA 2.0のフロントトライアングル内には、ボトルマウントも2つあり、ハイドレーションや収納のオプションが追加できる。
また、IA 2.0のダガーダイレクトフロントエンドは、ほとんどのアフターマーケットのハイドレーションシステムに対応し、望みのセットアップを自由に行うことが可能だ。



そしてレースは忍耐が大切だ― 特に、予期せぬ事態に遭遇したときには。
例えばパンクやメカニカルトラブルが発生した場合、素早く対処し、再び走り出すことができなければならない。
IA 2.0は、そのような時にあってもITS(Inside The Seat tube)pacストレージコンパートメントによって輝きを放つ。
この完全にビルトインされたストレージエリアは、トップチューブにマウントされたCALpacストレージシステムと同様に、2つのフリップアップ=コネクタボルトでアクセスできる。
ツールキット、スペアインナーチューブ、タイヤレバー、CO2カートリッジなど、迅速な修理に必要なものをすぐに取り出せるよう設計。
IA 2.0には、Silcaの自転車アクセサリー職人によってIA 2.0のフレーム形状に合わせてカスタムメイドされたプレミアムソフトバッグが付属している。
これによって、すべてのアイテムが保護され、しっかりと固定され、また、バッグの中身を取り出すことも容易だ。
脳幹直結のコントロール
速く走るためには、最高のブレーキングが必要だ。直感に反しているように聞こえるだろうか?しかし、考えてみてほしい。
どんなレースコースにも、タイトコーナーや深い斜度の下り坂がある。最速のバイクスプリットを達成するためには、効率的で信頼性の高いブレーキングが重要だ。正確なブレーキングによって1秒でもタイムを短縮するためにターンの後半に減速し、コーナー直後でより多くの勢いを得ることができるのだから。それを、レースの中で一体幾度繰り返すだろうか。
ディスクブレーキが速いという由縁はここにある。
ディスクブレーキを搭載したFELT製ロード、シクロクロス、そして先代のトライアスロンバイクは、いずれも近年のシーズンで世界もしくは国内選手権のタイトルを獲得している。ディスクブレーキはすべてのトライアスリートのパフォーマンスを向上させる、実績あるテクノロジーと言えるだろう。そして、もしレース当日に悪天候に見舞われたとしても、ディスクブレーキは旧来のリムブレーキに比べウェットコンディションに優れているのは周知の事実だ。
IA2.0のディスクブレーキには、12mm径のスルーアクスルが採用されている。ホイールのアライメントを適正に保ち、ブレーキ摩擦を最小限に抑えてくれる。
スルーアクスルはまた、ホイール・ドロップアウト部において、クイックリリーススキュワーよりも強固な接点を実現する。これはステアリング入力とペダリングパワーが、フロントホイールとリアホイールにそれぞれより確実に伝達されることを意味する。
カラー・バリエーション