
オランダの総合スポーツサイクリングP&Aブランド、BBB Cyclingから他にはない特徴的なデザイン・機能を持ったセーフティライト 「スライス300」がリリースされました。
本記事では、今回新たに発売されたバイク全体のシルエットの中に目立たず納まるミニマルな魅力に溢れたこのユニークなライトについて詳しくインプレッションしていきたいと思います。
目次
SLICE 300ライトについて
“スマート”を追求した結果のライトデザイン
SLICE 300は、単なるフロントライトではなく「サイクルコンピューターとマウントの間に装着する」ことを想定し開発されたスマートな薄型設計が特徴です。
ライトにはそれぞれGarminおよびWahooのマウントに対応するインサートが同梱され、幅広いサイクルコンピューター下部への装着を可能としています。
通常ライトをヘッドチューブ上やハンドルバー前端に取り付けると、ハンドルまわりが煩雑になりがちですが、SLICE 300はその構造を“コンパクトに収める”という発想でデザインされており、ミニマルなバイクフィットを追求するライダーによくマッチします。

日中の被視認性まで配慮された安心性能と実用性
ライトとしての基本性能も妥協せず、最大300ルーメンという明るさを確保。さらに「DayFlash(デイフラッシュ)モード」を搭載し、昼間でも被視認性を高める工夫がなされています。
都市部のクリテリウム・レースシーンや交通量の多い通勤ライドなど「見られる・見せる」ことが重要になる環境下では、このDayFlashモードの存在が大きな安心感となります。
LEDはCOB(チップオンボード)形式(COBの解説はこちら)を採用。発熱量を抑えつつ安定した光量を常に発し続け、被視認性を高めることでライダーの安全性を高めています。

防水性能はIPX6クラスに対応しており、雨天や路面の濡れた環境でも安心して使用可能。バッテリー容量は750 mAh、USB-Cによる高速充電に対応し、急なライド前でも短時間で準備できるのが嬉しいポイントです。
スライス300は外観のスマートさだけでなく「実用性」「安心感」も併せ持つライトとしてデザインされています。

SLICE300 ライト 使用インプレッション
今回新たにBBBラインナップの中に加わったスライス300を使ってみました。
結論としては、市街地以外では夜間走る際のメインライトにはならないが、早朝~日中のデイライト、夜間の補助ライトとしては大きくライダーの被視認性を向上してくれる満足度の高いライトでした。
インプレッションした人 / 使用機材
ライダースペック : 身長170㎝ / 体重 60㎏ 38歳 月間走行距離 3~500㎞
使用バイク : FELT FR Advanced Ultegra Di2 540㎜(商品ページはこちら)
自転車の乗り方:平日 – 夜間に自宅周りの郊外を1hライド / 休・祝日 – 早朝に峠方面へ5-60㎞、2-3hライド

スペックから見るSLICE300
SLICEライトの各モードルーメンと稼働時間は以下の通りです。

モデルの特性上、小型・携行性に振ったアイテムではあるので全体でのルーメン数は控えめです。バッテリー容量も750mAhなのでさして大きいわけではありません。もっとも、このバッテリー容量は大体200ルーメン相当のヘッドライトと同等のため、サイズ/容量比としては優れているといってよいかと思います。各モードのランタイムに優れ、電池が残り少なくなるとフラッシュモードに移行し、何より300Lmの超高輝度で15時間点滅を続けるセーフティライトは探してもそう多くはないかと思います。

サイズ感は小型のGPSコンピューターの下にすっぽり収まります。(写真はGarminEDGE530)重量はカタログスペック50g。前述のバッテリー容量を考慮に入れれば、申し分ない軽量性です。
防水性能はIPX6ということで(防水等級についての過去記事はこちら)、水没させたりなどよほどのことをしない限りは濡れて問題が起きたりなどはしないと思います。
使用インプレッション、優れている点

夜間でのライド数回での補助ライトと、早朝(5:00 AM)スタートの100㎞ライドでのデイライトとして使用しました。
過去にも自転車用デイライトをいくつか使ってきましたが、今回このライトを導入してみようと思い至ったのは、自分のバイクがエアロ一体型ハンドルになったことで従来のハンドルクランプ方式を採用できなくなったのが大きな理由です。(最新機種に乗り換えてハンドル周りを再構築しなければならなくなったのは皆様あるあるではないでしょうか…)その点このSliceはサイコンブラケットがあれば取付可能、サイクルコンピューターもまとめてマウントできるとあって、リリースを待ちわびておりました。

取り付けた際の最初の印象としては、自転車全体のルックスを損ねない、ライトが着いていることさえ窺わせないそのスマートさが何よりも魅力です。
対応サイクルコンピューターは今回私はGarminをマウントしましたが、同梱インサートと下部のネジ止めマウント部の付け替えでGarmin/Wahoo両形式に対応できます。(PDF商品マニュアルはこちら)市場に流通しているサイクルコンピューターは概ねこの2方式のいずれかを固定方式として採用しているので、汎用性も申し分ないかと思います。



スイッチボタンは右側に大きなものが一つだけ配置されています。サイクルコンピューターと同じで走行中に手元で探りながら操作することになるので、このシンプルなインターフェーズは純粋に有難いです。本体サイド部分と、サイクルコンピューターと同じような個所へのボタン配置としているのも操作する側としては混乱せず、良いと感じました。
反対側にはLEDのドットで電池残量が分かるようインジケーターが配置されています。電池残量が少なくなると4時間の自動セーフティフラッシュに切り替わるので、バッテリーによる消灯を心配することは少ないと思うのですが、充電すべきタイミングが明確なので、電池残量が一目でわかるインジケーターは非常に役に立ちます。常時バッテリーのわかるインジケーター非搭載のライトも多い中、常設型のインジケーター付きライトを一度使うとほかのライトに「なんでこのライトはバッテリー残量分からないの、もう!」というような気持ちを筆者は抱きました(笑)
ライトの配光は横へ幅広く取られ、夜間の対向車のみならず、交差点などでの横からの車に対しても被視認性が高いと感じます。特に300Lmのフラッシュを使うと遠目で見てもこれを見落とす人が果たしているのか、と考えるほどでした。早朝や夕暮れ時、夜間など、ライダーの安全性を向上させるための装備としては確実に効果があると思います。
弱点は…

SLICE300について敢えて弱点を挙げるのであれば、あくまでサブライトとしての運用にとどまる所でしょうか。商品開発としてもメインライトとしての運用は考えられていません。
その理由はSLICE300の配光にあります。あくまでセーフティ/デイライトとして設計され、幅広い角度への被視認性を重視した設計上、最大300Lmの光量は広い範囲に拡散される一方ビーム自体に奥行きがありません。ロードバイクなどのスピード域で夜走るには遠くを照らせないのです。同じ配光で遠くを照らすのであれば単純にルーメン数を上げるというやり方もあるのでしょうが、それだと今度はセーフティライトとしてはまぶしすぎるのでしょう。常灯最大100Lm/フラッシュ最大300Lmは非常に良く練られた設計なのだと思いますが、夜間走る場合はもう一つ別にメインライトが必要となるかと思います。
光の光量と配光の関係性については、弊社ブログの過去記事が分かりやすいので、ご参照ください。(過去記事はこちら)
SLICE300がお勧めのライダー

SLICE 300は、以下のようなライダーにぴったりフィットすると思います。
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エアロハンドル、ステム一体型ハンドルを装備し、それらにあわせてハンドル周りをスマートにまとめたいロード乗り
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街中〜郊外を問わず、通勤・クリテリウム・ナイトライドなど“見られる/見せる”環境で安心を求めるサイクリスト
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バイクの美観を損なわずに安全性能(被視認性)を高めたい、ミニマル志向のライダー
ハンドルにごちゃごちゃ付けたくない、しかし出先での「被視認性」や「安全」を妥協したくない。そんなライダーに、SLICE 300はストレスなくハマる選択となるでしょう。
SLICE300の商品ページはこちら

