2021年に国内で取扱が始まってからずっと愛用しているイスラエルのサイクリングシューズブランド FLR。足のどこにもストレスを感じさせないワイドな足形、フィット感、ソール剛性、通気性、そしてお求めやすい価格。これまで少なくとも7ブランド以上を使用してきましたが、ベストのサイクリングシューズはFLRです。
FLRのアウトソールは、これまでフルカーボンソールとグラスファイバーナイロンソール、この2種類しかありませんでした。今回、ミドルグレードとして新型カーボンコンポジットソールが登場。現物を触って非常に期待を持てる感触でしたので、実際に使用してみることにしました。
目次
FLR FNT-5
ロードシューズのラインナップでは、FNT-9に次ぐセカンドグレードで、アッパーはニット素材(NTがニットの意)です。
そしてアウトソールは新型のカーボンコンポジットソール「R400」を採用しています。カーボン製品は基本的にカーボン繊維を樹脂で固めた「コンポジット」(複合素材)ですが、FLRの言う「カーボンコンポジット」とは、カーボン繊維の他に別の強化繊維をコンポジット(複合)していることを意味します。剛性指数(あくまでFLR内で比較した数値)はフルカーボンソールが14、グラスファイバーナイロンソールが7に対して、カーボンコンポジットソールは12です。
クリート部分には滑り止め加工。
アウトソールのゴムパッドは交換できませんが、広い範囲を覆っていて歩きやすいです。
爪先側にはパッドに加えて、ベンチレーションが配されています。
クロージャーはダイヤル式のatopが1個。
レース(紐)はこれまでのスチールワイヤーに代わり、ケブラーワイヤーを採用しました。スチールワイヤーと比較して滑りが良く、スムーズな締め付けが可能になりました。
かかと内側はメッシュで内部に柔らかめのスポンジが入っています。
かかと後ろには反射テープ。
以前のニットモデルはつま先やかかとのコーティング部分が経年で黄ばみやすかったのですが、黄ばみにくい素材に変更されています。
インソールは薄型のスタンダードなタイプが一組です。
実測重量(インソール込)は下記。
サイズ41 右244/左242g
サイズ42 右255/左257g
サイズ43 右269/左267g
インソール単体41g(左右ペア)
インプレライダー
身長:174cm
体重:59kg
ライドスタイル:山岳ロング、ヒルクライムレース、ロードレース
足型の特徴:比較的幅広、非常に甲低
母指球-小指球部分の外幅実測:100mm
過去にフィットしたシューズ:FLR F-9 42サイズ、FLR F-XX Knit 42サイズ、Bontrager Classique 41サイズ、Bontrager Velosis 41.5Wサイズ
小指球があたって痛みが出たシューズ:FLR F-11 42サイズ、FLR F-75 42サイズ、Specialized S-WORKS SUB6 42サイズ、Giro Privateer Lace 43サイズ
FLRのラインナップで最もワイド

FLRは2024年にラインナップを刷新して、より幅広のエリートラストを導入しました。エリートラストを採用したモデルとして、既にマイクロファイバーアッパーのF-9を使用していますが、FNT-5はしなやかなニットアッパーを採用しているためか、さらに幅広に感じます。ニットアッパーを採用したFNT-1/3/5/9各グレードを試着したところ、FNT-5とFNT-9が最も幅広に感じました。とにかく幅広のシューズを探しているという方は、このFNT-5、もしくはFNT-9を選択するのが良いでしょう。

ニットアッパーのしなやかさと通気性
FLRのニットモデルに共通するところですが、足の形に寄り添ってくれるニットアッパーは快適そのもの。特に痛みに悩む方に試していただきたいです。ニットという響きから伸縮性があってパワーが逃げるのかなと思いがちですが、実際はなかなか結構しっかりとしたホールド感がありつつ、足の形にフィットしてくれるしなやかさが最高です。
さらに通気性も素晴らしいです。従来のシューズにあったベンチレーションがなんだったのかと思えるほど足全面に風が当たって、非常に気持ちが良いです。通気性にとどまらず、雨などで濡れてもすぐ乾く速乾性も魅力です。
ブログ :ニットアッパーのサイクリングシューズは汚れやすいのか?
新型カーボンコンポジットソールは硬すぎない高剛性
肝心の新型カーボンコンポジットソールですが、手で力をかけてみるとかなり硬く、実際に使用してもほとんどパワーロスは感じません。ハイエンドシューズと言われても疑問を感じないレーシーな性能に仕上がっています。
それでもFLRのフルカーボンソールと比較すると、あのパワーを一滴も逃さないダイレクトな感覚はありません。個人的にはライダーのレベルに関わらずアウトソールは硬ければ硬いほど楽に走れて良いと思っているのですが、人によっては硬すぎると痺れるとか疲れるという方もいるので、そういった方にはより良い選択になるかもしれません。見た目もマットのクロスカーボンでカッコイイです。
FLRニットアッパー グレード比較

ニットモデルであれば アッパーは基本的に同じなので、どのグレードを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。各グレードを試着して比較してみました。
(10点満点)
幅広度
FNT-9 10点
FNT-5 10点
FNT-3 8点
9、5は今まで履いたシューズで最も幅広。3でもかなり幅広な方です。9であれば2ダイヤルなのでつま先側までしっかり締め付けできて問題ありませんが、1ダイヤルの5だと私の足には幅広すぎて固定力が少しだけ物足りないとも感じました。
アウトソール剛性
FNT-9(フルカーボン) 10点
FNT-5(カーボンコンポジット) 9点
FNT-3(グラスファイバーインジェクションナイロン)7点
5でもハイエンドモデルと言っても違和感はない高剛性。9になると感動するレベルのダイレクト感を味わえます。3もエントリーモデルとしてはしっかりとした剛性があることはベテランレーサーがあえてレースで使っていることからも証明されています。
ホールド力
FNT-9 10点
FNT-5 6点
FNT-3 6点
これは、9と5、3でかなり差を感じます。ダイヤルクロージャーの数に加えて、シューズ内側の素材の滑りにくさも理由です。
歩きやすさ
FNT-9 7点
FNT-5 7点
FNT-3 10点
アウトソールのゴムパッドが大きいFLRは、ロードシューズとしてはかなり歩きやすいです。特に3のパッドは高さと大きさがあり非常に歩きやすくなっています。
実測重量(42サイズ、片側)
FNT-9 274g ※付属薄型インソール使用時
FNT-5 257g
FNT-3 289g
FNT-1 LACE 290g
サイズ選択について
FLR、Sidi、DMT、Specializedなどほとんど42サイズを選ぶ私ですが、今回も42が適正でした。ただ他のFLRシューズと比較すると少し大きめにも感じました。可能であれば試着してから購入されることをおすすめします。FLRシューズを豊富に展示しているFLRプレミアムショップ・常設店や試着イベント、またショップによっては取り寄せでサイズ確認の試着サービスに対応していますので、各お取扱店へご相談ください。
FLRシューズを豊富に展示しているFLRプレミアムショップ・常設店
試着イベントや期間限定のPOP-UP STOREの情報はFLRブランドサイトへ
購入はFLRプレミアムショップ・常設店、もしくは全国のライトウェイプロダクツジャパン商品取扱店へ
書き手→コエサシ

















