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バイク インプレッション 【2010 FELTハイエンドモデル】

 
あらゆる用途に対応したラインナップが魅力!

 フェルトは2008年以来、ガーミン・スリップストリームチーム御用達ブランドとして活躍している。2010年もチームのメインバイクとして活躍するのは、超軽量モデルのF1 SLとエアロ系モデルのAR1だ。また、パリ〜ルーベなどのパヴェを走るレースでは、ヘッドチューブが長めに設定された「Zシリーズ」も活躍している。はたして、これらバイクの実力はどのようなものなのだろうか?FUNRIDE編集部、自転車ジャーナリストの仲沢隆がフェルトの分厚いラインナップの中からF1 SL、F5,AR2、AR5,Z4,Z5の6台を試乗し、それらの特性を多角的に検証してみた。


ツール・ド・フランスで証明された実力

2008年、ガーミン・チポトレチームはフェルトのバイクを駆ってツール・ド・フランスで大旋風を巻き起こした。特に同チームのアメリカ人選手、クリスティアン・ヴァンデヴェルデの活躍は目覚ましく、混戦のツールをフェルト・F1とともに総合5位でフィニッシュしている。2009年も引き続き、ガーミン・スリップストリームチームはフェルトを駆った。そのメインバイクとなったのが、F1 SLだ。の完成車重量は、13.98ポンド=6.35kgという超軽量を示す。ペダル、ボトルケージなどは含まれていない重量とはいえ、パーツの選択次第ではUCI(国際自転車競技連合)が定める最低重量6.8kgを簡単に下回ってしまう軽さである。

FELTが放つ最新鋭モデルARシリーズ
 UCIが6.8kgというバイクの最低重量を定めた当初は「プロレースの実戦に耐えうるバイクで6.8kgなんていう軽さは無理」という意見が大半だった。しかし、高弾性カーボンフレームがそれを可能にしてしまうと、各メーカーの開発方針は「軽量化」から別の方向へ修正せざるを得なくなった。その一つの方向が「エアロ化」である。
  フレームもコンポーネントも軽量極限まで進み、今や普通にデュラエースやレコードを組み付けても6.8kg以下になってしまうのが当たり前だ。そのため、各チームはバイクにウェイトを取り付けるという本末転倒な対策を取ってきたが、そんな馬鹿げたことをするくらいなら、素材の積極的な使い方をするべきだというのは、シロウトが考えてもわかることである。そこでエアロ形状が注目されているのだ。

 ARシリーズはそんな要求に対するフェルトからの回答だ。

 フェルトの得意分野であるトライアスロン用エアロ系バイクを、マスドロード用に使用できるようにアレンジした新作なのである。バイク各部の形状は徹底的にエアロ断面になっており空気の流れを乱さないように設計されている。

 使用素材はウルトラハイブリッドカーボン(UHC)だ。
SB60、M30S、T700という3種類の東レ製カーボンファイバーを適材適所に配することで、 高剛性化と軽量化を高次元で両立している。成型方法はいわゆるモノコックであるが、一般的なモノコック製法とは異なる。前三角とシートステー、チェーンステーを別々に成形し、それらを一体化させる3ピース製法を採用しているのだ。もちろん、そうすることによって、各部の成形の精度を上げるとともに、フレームの狂いを極限まで減らしてしまおうという訳である。

 接合方法も素晴らしい。一般的な3ピース製法では差し込んで接着するという技法を用いるが、ARではサマーセットカーボンを溶かしながら接合するという特殊な方法を採用しているのである。継ぎ目も分からないほどのスムースで美しい仕上がりになっているのはその結果である。

 そしてARシリーズでは「UHC-NANO」という技術が新たに採用されている。従来からのUHCにカーボンナノチューブを配合することで、さらなる剛性アップを実現しているのである。実戦テストは2008年のツール・ド・フランス直前から始まったばかりであるが、早くも市販モデルのラインナップが揃っている。この辺の開発力は、さすがフェルトといったところだ。風洞実験の結果、ARシリーズはノーマルバイクより2%の空気抵抗低減を実現していることが証明された。これは、1時間当たり58秒の短縮に相当するという。レースばかりでなく、ロングライドでも圧倒的な高性能を発揮してくれるのは、誰でも容易に想像できるだろう。


シクロワイアードに掲載
エアロフォルムでありながら、マスドロードもこなす最先端バイク。
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軽さと相反する剛性の高さ F シリーズ  

 「超軽量バイク」というと、「走らないのでは?」とか「持って軽いけど、乗っては軽くないだろう」などのイメージを持つ人もいると思う。しかし、フェルト・F1 SLに関してはまったくそれが当てはまらない。「UHCナノウルトラハイブリッドカーボン」というカーボンナノテクノロジーを駆使した最新素材により、名だたる高剛性バイクと同等以上の剛性感の高さを実現しているのだ。

フェルトの創始者であるジム・フェルトは、スチールやアルミフレーム全盛時代に「チュービングの魔術師」と呼ばれた人物である。同じチューブを使っても、ジム・フェルトの手にかかると、まったく別物の「走るバイク」に仕上がったからだ。プロ選手の顧客も多く、所属チームカラーに塗装されて活躍したジム・フェルトのバイクは数知れないという。

その実力はカーボンフレーム全盛時代となっても、まったく色あせていないどころか、さらに磨きがかかっていると言えるだろう。上記の「UHCナノウルトラハイブリッドカーボン」素材はもちろんのこと、フレーム各部のボリュームや肉厚、カーボンの積層方向などを調整することにより、最も軽い重量で最も高い剛性を出し、そして最も「走るバイク」へと仕上げているのである。

クリスティアン・ヴァンデヴェルデは言う。「フェルトのバイクに出会えたことに、僕はとても感謝している。だって、ツール・ド・フランス総合5位という、これまでの最高成績を実現させてくれたのだから。フェルトは僕がこれまでに乗ってきたバイクの中で、間違いないベストだ」と。


完成度の高いコンフォートロード Z シリーズ

  さて、最後にご紹介するのが「Zシリーズ」だ。

近年、ヘッドチューブを長く取った「コンフォートロード」が人気を集めているが、まさにこのZシリーズこそ元祖なのである。 ロードバイク初心者にとって、ハンドルバーの低さというのはひとつの鬼門であった。多くの人がコラムのスペーサーを何枚も入れることによってアップライトなポジションを出していたのだが、いかにもこれはかっこ悪い。 そこでフェルトはヘッドチューブを長く取ったZシリーズを発表したのである。一般にスローピングフレームは「トップチューブを後に向けて下げた」と解釈されているが、このZシリーズに関しては「トップチューブを前に向けて上げた」と解釈するのが正解だ。 コラムに無用なスペーサーを取り付けなくても良くなったことにより、ヘッドまわりの剛性感が格段にアップした。そして、なによりもスタイリングが圧倒的にかっこよくなった。

フレームの製法はモノコックで、素材にはトレカ・T700をベースに数種類のカーボンを組み合わせたハイモジュラスカーボンを採用している。

フレーム各部の太さやカーボンの積層方向などを調整することにより、最も軽い重量で最も剛性を出しているのはFシリーズやARシリーズと同じだ。

コンフォートロードと言いながらも、ガーミン・スリップストリームチームのメンバーの中には、ロンド・ファン・フラーンデレンやパリ〜ルーベなどのパヴェのレースで、このZシリーズをチョイスする選手がいる。シチュエーションによっては、最も速く走るバイクに変身するという訳である。

Zシリーズのポテンシャルの高さを証明する最高の逸話であるといえよう。



シクロワイアードに掲載
圧倒的プライスバリュー。快適ポジションのクルーズバイク。
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