ロードバイクのパーツの中でも、特にライダーとの相性が重要なのがサドルです。
形状やクッション性、座面の幅など、メーカーごとにさまざまな工夫が凝らされていますが、カタログスペックだけで自分に合ったサドルを見つけるのはなかなか難しいものです。
筆者自身の主なサドル遍歴としては、fi’zikのARIONE(アリオネ)を皮切りに、FELTのオリジナルパーツブランドDevoxのカーボンレールモデル、fi’zik ALIANTE(アリアンテ)、Selle San Marco MANTRA(マントラ)と、さまざまなサドルを使用してきました。
そんな中、現在使用しているのがFabricの「LINE RACE TEAM SHALLOW(ライン レース チーム シャロー)」です。
使い始めてから約半年、走行距離はおよそ4,000km。結論から言えば、これまで使用してきたサドルの中でも非常に満足度が高く、長距離のライドでも快適に使い続けられています。
今回は、実際に長期間使用して感じたフィット感やペダリングのしやすさ、耐久性などについてインプレッションをお届けします。
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Fabric LINE RACE TEAM SHALLOWについて
快適性とパフォーマンスを両立するシャロープロファイル
Fabricは、独自のサドル構造とシンプルなデザインを特徴とするサイクリングパーツブランドです。
LINEシリーズは、サドル中央に前後方向のプレッシャーリリーフチャンネルを設け、デリケートな部分への圧迫を軽減することを目的としたモデルです。
また、従来のようにカバー素材をベースに強く引き伸ばして固定するのではなく、柔軟なベース、フォーム、カバーを接合する独自の3ピース構造を採用しています。これによって、座面に適度な柔軟性を持たせながら、快適性と耐久性の両立を図っています。
今回使用したSHALLOWプロファイルは、丸みは有りつつも比較的フラットな座面形状を持つプロファイルで、やや前傾した⾃然なライディングポジションからアグレッシブな前傾姿勢にも対応するオールマイティ設計です。
さらにTEAMグレードではチタンレールを採用。レーススペックの軽量性と快適性を両立したモデルとなっています。

製品仕様
- 製品名:LINE RACE TEAM SHALLOW
- サイズ:幅142mm × 長さ282mm
- 参考重量:244g
- レール:チタン(直径7mm)
- ベース:バイオベースナイロン
- カバー:防水マイクロファイバー
- プロファイル:シャロー
LINE RACE TEAM SHALLOW 使用インプレッション
インプレッションした人 / 使用機材
ライダースペック:身長170cm / 体重60kg前後 / 月間走行距離 500km前後
使用バイク:FELT FR Advanced Ultegra Di2 540mm
自転車の乗り方:平日 – ZWIFTでZ2、SST中心 / 休・祝日 – 早朝に峠方面へ60~70km、2~3hライド
使用期間:約6か月 / 走行距離約4,000km

サドルを交換した理由
直前まで使用していたサドルも、フィット感や快適性に大きな不満があったわけではありません。
ただ、サドルトップの起伏が比較的大きい形状だったため、自然と座る位置が限定されてしまい、前後方向へのポジション変更の自由度が低いことが気になっていました。
筆者は平坦路での巡航時や登坂時など、走行状況に応じてサドルの前後に座る位置を変えることが多いため、もう少し自由にポジションを調整できるサドルを探していました。
半年間使い続けても不満のない快適性
まず、今回のインプレッションで最もお伝えしたいのが、その快適性です。
サドルは短時間の試乗では問題がなくても、数時間走り続けると痛みや違和感が出てくることがあります。
特にロードバイクでは、前傾姿勢で長時間同じ位置に座り続けることも多く、ちょっとした形状の違いが快適性に大きく影響します。
その点、LINE RACE TEAM SHALLOWは非常に優秀です。
使い始めてから約半年、4,000kmほど走行していますが、これといった不満を感じることなく使い続けられています。
特に好印象なのが、長時間乗っていてもサドルによる痛みが出にくいことです。
極端にクッションが厚いわけではありませんが、座面の適度な柔軟性と形状のバランスがよく、必要な部分をしっかり支えてくれる印象があります。
サドルの快適性は単純な柔らかさだけでは決まりませんが、このモデルはそのあたりのバランスが非常によく考えられていると感じます。

ノーズ部分の絶妙な太さがペダリングを妨げない
個人的に特に評価しているのが、サドル前方のノーズ部分の形状です。
筆者は過去、ノーズが比較的幅広いサドルを使用した際に、ペダリング中に内腿との干渉が気になり、痛みが出てしまった経験があります。
サドルの幅は坐骨を支える部分だけでなく、ペダリング中に脚が通過するノーズ周辺の形状も重要です。
LINE RACE TEAM SHALLOWは、このノーズ部分の太さがちょうどよく、ペダリング中に邪魔になる感覚がほとんどありません。
細すぎて不安定になることもなく、かといって内腿に余計な圧迫を感じることもない、絶妙なバランスです。
特に前乗り気味のポジションでペダリングする際にも、脚の動きを妨げないところが気に入っています。
もちろんサドルの相性には個人差がありますが、筆者と同じようにノーズが広いサドルで痛みや違和感が出やすい方には、一度試してみる価値があると思います。
想像以上にオールマイティなシャロープロファイル
使用する前に想像していた以上によかったのが、シャロープロファイルの汎用性です。
比較的フラットな座面形状ということもあり、前後方向へのポジション移動が非常にスムーズです。
例えば、平坦路でペースを上げたいときには少し前方へ座り、リラックスして巡航したいときには後方へ移動するなど、状況に応じて自然に座る位置を変えられます。
また、登坂時にも勾配やペダリングの仕方に応じて着座位置を調整しやすく、特定のポジションに固定される感覚がありません。
サドルによっては座る位置がある程度決まってしまい、前後に移動すると座り心地が大きく変わるものもあります。
その点、このサドルはポジションの自由度が高く、さまざまな乗り方に対応してくれます。
レース向けのモデルという位置付けではありますが、実際に使用してみると、ロングライドから日常的なトレーニングまで幅広く対応できるオールマイティなサドルだと感じました。

4,000km使用しても傷む気配のないカバー素材
もう一つ、長期間使用して特に感心したのがカバー素材の耐久性です。
LINE RACE TEAM SHALLOWには、防水マイクロファイバー製のカバーが採用されています。
サドルの表面は、ライド中にサイクルパンツとの摩擦を繰り返す部分です。
特にサドルの角や側面などは傷みやすく、製品によっては比較的短期間で表面の合成皮革が破れたり、剥がれてきたりすることがあります。
筆者も過去に、1年未満の使用でカバー表面が傷んでしまったサドルを経験しています。
ところが、このLINE RACE TEAM SHALLOWは約4,000km使用しても、カバーが破れてくる気配がまったくありません。
表面の状態は非常に良好で、長期間使用していることを考えると、かなり優れた耐久性だと思います。
サドルは一度身体に合ったものを見つけたら、できるだけ長く使い続けたいパーツです。
そう考えると、座り心地だけでなく、こうした素材の耐久性が高いことも大きなメリットです。

チタンレールによる快適性にも期待
今回使用しているTEAMグレードでは、レールにチタン素材が採用されています。
チタンは自転車のフレームやパーツにも使用される素材で、振動減衰特性に優れるとされています。
サドルの場合、レールの素材や構造も路面から伝わる振動や衝撃に影響する要素の一つです。
もちろん、サドルの快適性はベースの柔軟性やフォームの厚さ、形状などによっても大きく左右されるため、チタンレール単体の効果を切り分けて評価することはできません。
ただ、実際に長距離を走っても快適性が損なわれにくいことを考えると、こうした素材の選択も製品全体の乗り心地に寄与しているのではないかと思います。
単純な軽量化だけでなく、長時間のライドで求められる快適性にも配慮した仕様という点は好印象です。
あえて不満を挙げるなら重量
ここまでかなり好意的な評価となりましたが、あえて不満点を挙げるとすれば重量でしょうか。
LINE RACE TEAM SHALLOWの公称重量は244g。
一般的なスポーツサドルとしては決して重すぎる数値ではありませんが、軽量なカーボンレールサドルと比較すると、やや重量があります。
特にヒルクライムなどでバイクの軽量化を追求する場合には、もう少し軽いサドルを選びたくなるかもしれません。
ただし、個人的にはこの重量差を理由に交換したいとは思っていません。
サドルはライダーとバイクをつなぐ重要な接点であり、わずかな軽量化よりも、痛みや違和感なくペダリングを続けられることの方が重要だと思えば、フィット感と快適性に満足できているのであれば、多少の重量差は十分に許容できる範囲です。

まとめ ― 長く使ってこそわかる完成度の高いサドル

Fabric LINE RACE TEAM SHALLOWは、約半年・4,000km使用してみて、非常に完成度の高いサドルだと感じました。
特に評価したいのは、長距離でも痛みが出にくい快適性と、ペダリングを妨げないノーズ形状、そして自由度の高いシャロープロファイルの組み合わせです。さらに、長期間使用してもほとんど傷みを感じさせないマイクロファイバーカバーの耐久性も大きな魅力です。
これまでさまざまなサドルを使用してきましたが、長期間にわたって不満なく使い続けられているモデルは、個人的にもそう多くありません。
サドルはライダーによって好みや相性が大きく分かれるパーツなので、誰にでも合うと断言することはできません。それでも、Fabricのサドルに固定ファンが多い理由は、実際に使ってみるとよくわかります。
単に柔らかく座り心地がよいというだけではなく、ペダリングのしやすさやポジションの自由度、長期間使用することを考えた耐久性まで、非常によくバランスが取れています。
決して安価なサドルではありませんが、これだけの快適性と耐久性を備えていることを考えれば、十分に納得できる価格だと思います。
特に、サドルのノーズ部分との干渉に悩んでいる方や、前後にポジションを動かしながら走る方、長距離でも快適に使えるサドルを探している方には、ぜひ試していただきたいモデルです。

