フェルト Felt FR30 ディスクブレーキ 実走インプレッション

ロードバイクのディスクブレーキ化が著しいです。フェルトも例に漏れずレースロード「FR」のアルミフレームにディスクブレーキ仕様がラインナップされるようになりました。

過去にリムブレーキのFRアルミは試乗して、その反応性や完成度の高さには驚かされましたが、ディスクブレーキのFRアルミは試したことがなかったので、インプレしてみました。

 

Felt FR30 (Disc)

FRシリーズはフェルトのロードレース向けロードバイク。FR30はアルミフレームにシマノ105を装備したレースエントリーモデルと言えます。

 

105はシマノの最高峰デュラエースと同じリア11段変速(=互換性があるのでパーツ交換が可能)で、変速性能も剛性も十分以上、レースに出るなら105以上と言われる信頼性の高いコンポーネントです。FR30は、コストダウンのため社外品が採用されがちなクランクとブレーキも含めてすべて105をスペックしています。

フレームの特徴は「サイズ専用設計」というものです。通常、同じ素材でフレームを作ると小さいサイズは固く、大きいサイズは柔らかくなってしまいます。そのため、フレームサイズによって必要な剛性と柔軟性を割り出し、コンピューターによる応力解析で各フレームチューブの形状や厚みなどを決定します。

さらにFRはヘッドベアリング径も、3種類を使い分けています。こんな手間のかかることをしているのはフェルトくらいです。見えないところですがこういったこだわりによって、疲れにくく「進む」フレームが完成します。

試乗バイク:Felt FR30 Disc 510mm (2020モデル)

試乗距離合計:490km(100km超のライド×3、あとはほぼ通勤)

 

美しいフレーム

FR30はアルミフレームなので当然パイプを溶接しているのですが、溶接痕が非常に滑らかに処理されています。滑らかすぎてカーボンと間違われます。高級感があって所有欲を満たしてくれます。

 

シートチューブの接合部も同じく滑らかな処理です。

 

耐久性に優れたスレッドBB

BBはトラディショナルなJISスレッドです。FRカーボンやリムブレーキのFR30には大径幅広のBB386を採用していました。開発エンジニアによると、レースロードに必要な短いチェーンステーと十分なタイヤクリアランス(FR30の場合は28mmまで)が確保できたので、耐久性を重視してスレッドBBを採用したということです。

 

チェーンステーは曲げを入れることでタイヤクリアランスを確保しています。ちなみに35CクリアランスのVRシリーズはBB386です。BB386に比べて径が小さく、幅も狭いJISなので、剛性は劣ると想像していましたが、驚くことに剛性は高いほうです。試しに静止状態でブレーキを掛けてペダルをグイグイ踏んでみましたが、FRカーボンと同等の固さはあるように感じました。

スレッドBBは圧入BBよりメンテナンス頻度が低く済み、メンテナンスそのものも簡単です。圧入BBを使ったフレームは走りを重視したレース機材としては優秀ですが、レースだけでなく通勤などでも相棒として長く付き合うならスレッドBBは良い選択だと思います。

 

スピードを感じさせない安定感

走り出してすぐに感じたのは、このバイク、安定感がものすごく良いです。安定感が高いので、下りでスピードが出ても体感的にはそれを感じさせません。メーターを見て始めてスピードが分かり、驚くことがあります。理由は、バイクが跳ねずにしっとりと路面を転がること、サイズごとに微調整したジオメトリー(3種類のフォークオフセットを使い分けているのはフェルトくらいなものです)によるニュートラルなハンドリングでしょう。軽すぎない適度な重量も影響しているかもしれません。

 

パワフルな反応性

このバイクで最も印象的なのが、踏んだパワーがダイレクトに伝わって、力強く加速してくれる点です。さすがにFRカーボンのような勝手に脚が踏み降ろされるような軽さはありませんので、ロードレースを走ることがメインの場合は、FRカーボンをお勧めします。しかし、FR30にはアルミならではのトルクがしっかり伝わる感覚があります。これは単純に固いという意味ではありません。ただ固いだけだと、跳ね返されるような踏みにくさが出てしまいますが、しっとりとパワーを受け止めてくれます。ちなみにFRカーボンはダンシング時の振りの軽さが特長なのですが、このFR30については少し重さを感じます。バイクを大きく振るのは向かないので、ケイデンス高めでバイクは小さめに振るペダリングがフィットします。

 

Alexrims RXD3を装着

ちなみに、純正で付属するホイールは決して悪いものではありませんがそれなりに重さがあるので、軽量なホイールにアップグレードすることで、より軽い走りを手に入れることができます。Alexrims RXD3に交換してみましたが、走りがガラッと変わりました。

 

アルミ最高レベルの乗り心地

FRシリーズの他モデルがそうであるように、相変わらず乗り心地が良いです。アルミフレームのレースロードとしては最高の振動吸収性だと思います。突き上げるようなガツッという振動は、ボンッという角が丸まった振動になります。

 

また、普通のバイクだと、荒れた路面や前荷重になるもがきで、リアタイヤが跳ねてペダリングのパワーが上手く推進力に繋がらないというシチュエーションがあると思います。FR30はリアバックに縦の柔軟性があってタイヤが跳ねにくいのでパワーがしっとりと確実に推進力になります。

 

その他の特徴

ケーブルは前三角が内装です。

 

ダウンチューブに内装したケーブルはBB側に開いた穴から出てくるので、ワイヤー交換のようなメンテナンスも簡単です。リア三角は外装になります。

 

もちろん前後12mmスルーアクスル。

 

ブレーキ台座はフラットマウント。

 

リアエンド後ろ側にダボ穴が開いているので、工夫次第でフェンダーの取付けに活用できるかもしれません。

 

サドルはフェルトオリジナルのDEVOXブランドのショートサドル。PrologoのDimensionと似た座り心地で、こちらの方がわずかに柔らかいです。快適なサドルでした。

 

リムはオフセットリム。

 

まとめ

綺麗なフレームに信頼性の高いスレッドBBを採用したアルミフレームのFR30(ディスク)は、普段はツーリング、時にはロードレース、そして通勤まで、1台を大事に長く使いたいという方にお勧めです。

 

製品ページ

https://www.riteway-jp.com/bicycle/felt/fr_alloy/

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