Felt VR インプレ ダートをこなす最速マルチロード

坂バカスタッフRYOです。

Feltのマルチロード VR

「マルチロード」「エンデュランスロード」「コンフォートロード」「グラベルロード」「オールロード」と言われるカテゴリーのバイクです。

以前あったエンデュランスロード Zシリーズの後継にあたるのですが、35Cまでのタイヤクリアランスや、かなり長いヘッドチューブだったりと、まったく新しいモデルと言った方が良いと思います。

VRとは?

ハイスピードなトップレースとダウンヒルコースのようなオフロード以外であれば、これ1台で全てのライディングに対応します」と謳うマルチロードバイク。

少し言い過ぎじゃない?と思いますが(笑)、乗り手の技量次第では嘘とは言えないだけの性能があると思います。

通勤・街乗りから、ツーリング、エンデューロレース、ダートを含むアドベンチャーライドまで難なく対応します。

 

35Cのライトウェイ アーバンフルグリップタイヤを装着

標準では28Cタイヤ付属ですが、35Cまで対応するタイヤクリアランスがあります。

 

Z2 Disc 2016

先代にあたるZシリーズは「コンフォートロード」「エンデュランスロード」と呼ばれるカテゴリーを作り出したパイオニアでした。

 

低速での安定性を高めたジオメトリーと高めのハンドル位置によるアップライトな姿勢はVRにも受け継がれています。

 

コンフォートロードだからと言って、ペダリング剛性は落とさず、スピードに妥協が無いこともZの特長でしたが、それはVRも同じです。

VRは加速に必要な横剛性をレースバイクと同等にしています。

 

Zから大きく変わった部分はシートステー形状。

シートチューブとの接合を最小限にして、トップチューブと一体化したシートステーです。

横剛性を確保したまま、垂直方向の柔軟性を12%向上。

MTBのサスペンションのように、リアエンドに動きを作り、タイヤをしっかり路面にグリップさせ、振動も吸収してライダーのストレスを減らします。

 

ギア比も特徴で、最も軽いギアを1:1とかなり軽くしています。

きついヒルクライムも大丈夫です。

 

ディスクロードのスタンダードになった、フラットマウントディスクブレーキに前後12mmスルーアクスル(VR60を除く)です。

 

インプレバイク:Felt VR3 510mm 2017

そんなVRを半年に渡って使ったので、インプレを書いてみたいと思います。

2017モデルのVR3は現行(2018年9月現在)のVR2, VR3と同じフレーム&フォーク UHC Advanced + TeXtreme です。

 

時速20kmのクルージングが楽しい

普通のロードバイクって、だいたい30km/h前後のスピードは出ていないと、ふらつきやすかったりと挙動が安定しません。

なんとなく「もっと速く走れ!」と言われているような感覚がありませんか?

VRにはそれがまったく無いことに驚きました。

20km/hで走っても、違和感が無く、しっくり来る。いや、むしろ楽しいんです。

仕事で疲れきった日の帰り道。景色や街並みを見ながらゆっくり走りたい時。

「ゆっくり走りなよ」と言ってくれるのがVRです。

これは、安定性を高めたジオメトリーの効果でしょう。

もちろん、アップライトなライディングポジションも影響しているとは思います。

ただ、それだけでは無いと感じます。

事実、VRのハンドルセッティングを深い前傾姿勢を取れるようにしても、同じ安定性を感じます。

Feltのエンジニアが目指したフレーム設計の結果がここに出ているとしか考えられません。

コンピューターの応力解析とテストライドを繰り返して、リラックスできる踏み心地と乗り心地に仕上がりました。

 

ダートでのトラクションとスピード

VRは最大35C幅のタイヤまでのクリアランスを持ち、ダートにも対応します。

グラベル(砂利道)はもちろん、簡単なトレイルなら走れます。

実際にグラベルを走ってみて驚いたのは、ただ走れるだけでなく、かなり高いレベルで走れることです。

ちなみに28Cのスリックタイヤを使用しました。

前後にしっかり荷重とトラクションがかかる感じで、ダートでぺダリングしてもタイヤが滑りません。

特にダンシングは滑りやすいはずなのですが滑りません。

ダートの登りで臆すること無くペダリングできます。

そして、さらにスゴいのが反応が良くグイグイ進む。つまり「速い」です!

他にもダートが得意なロードバイクはあるのですが、VRほどダートを速く走れるバイクは存在し無いと思います。

ダートでのトラクションや振動吸収性を意識するあまり、反応性を失っているものが多いですし、その逆でトラクションがかかりづらいものも多いです。

VRは、トラクションと反応性が抜群なので、ダートでかなりアグレッシブな走りが可能です。

これもやはり、Feltのエンジニアによるフレーム設計によるものでしょうか。

カーボンシートには性質上、柔軟性の高い方向と低い方向があります。

Feltでは、このカーボンシートを重ねる方向をFEA解析とテストライドで厳密に決定して、フレームの剛性と柔軟性をコントロールしています。

しかも75FAW以下の薄いシートを数多く重ねているので、より緻密な設計を可能としています。

分かりやすい例をあげると「厚いシート×5枚」より、「薄いシート×10枚」の方がより細やかな設計を実現出来るということです。

独特のシートステー形状の効果もありそうですね。

ワイドなシートステーで横剛性を高め、加速性を高めます。

逆に垂直方向の柔軟性を高め、路面追従性と振動吸収性も高めています。

 

レースバイクと同等の高速巡航性能

低速で快適でダートも高いレベルで走れるVRですが、最も驚きなのは舗装路もかなりのレベルで走れることです。

レースバイクに混じって平地の周回練習を何度もしていますが全く問題無い、どころかむしろ速い?と思えるレベルです。

40km/h巡航もできちゃいます。

平地の巡航は、レースバイクと同じペースでできると考えてもらって良いと思います。

マルチロードなのに、十分な剛性があって「速い」。

これがVRの最も特徴的で、他社と差別化されている部分です。

 

ハンドル位置は高いけど下ハンを握ればOK

VRはレースバイクと比べるとあり得ないぐらいヘッドチューブ、ひいてはスタックハイトが高いです。

個人的に高いハンドル位置は好みではなく、乗る前まではギリギリまでハンドルを低くして使おうと思っていました。

ですが、今は結構ハンドルを高くして乗っています。

乗り込む内に、VRのキャラクターが最も活きるのが、この高いハンドル位置だと気付きました。

下ハンドルって使う時間が短く、ほとんどの人はブラケットしか持たないのではないかと思います。

低い下ハンドルがどうしても必要になるのはスプリントですが、VRはそういうバイクではないですしね。

私はVRを下ハンドルを楽に持てるセッティングにしています。

スピードを求める時は下ハンドルを持てばOKです。

下ハンドルが近いとダウンヒルも楽になりますね。

 

万能なVRのデメリットは?

ゆっくり走れて、速くも走れて、しかもダートもいける。

そんな万能なVRですが、レースバイク、例えばFelt FRに劣る部分はなんでしょう?

一番は、トップスピードはレースバイクに及ばないことです。

VRでスプリントをしても、FRほどはスピードが伸びません。

大きな理由は、FRに比べてバイクのフリに重さがあるからと感じます。

FRほどハイケイデンスには対応してくれません。

スプリントに限りませんが、VRは少し重めのギアをグイグイ踏んでいく走りがフィットします。

というか、重めのギアを踏んでも脚にこない踏みやすさがあります。

あとは、低速からの加速やヒルクライムはFRの軽快さに及ばないです。

シッティングメインでジワジワ登っていくイメージですね。

ただ、どちらも他のマルチロードと比べたらかなり優秀だと思います。

 

まとめ

VRの魅力を簡潔に述べると、楽しく走れるスピード域の広さと、ダートにハイレベルで対応することです。

通勤・街乗りからハイスピードライドまで「楽しく」走れます。

この「楽しく」というのが大切だと思っていて、20~40km/hまですべての速度で楽しく走れるバイクはなかなかありません。

ロードレースでリザルトを目指す人以外であれば、最もお勧めしたいロードバイクです。

初めの1台としても最高です。

逆にロードレースをやる方は、セカンドバイクとしてVRがあれば、世界が広がるはずです。

想像を遥かに越えた、楽しすぎる最高のマルチロードでした!

VRシリーズ ロードバイク | Felt日本語公式サイト

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