Felt FR FRDを使用する唐見実世子選手にインプレインタビュー | ディスクvsリム、グレード比較

2017年からフェルトのバイクに乗り続ける弱虫ペダルサイクリングチーム 唐見実世子選手に、現在使用するFR FRD UltimateとFRシリーズのインプレを伺いました。ディスクブレーキとリムブレーキの違い、ハイエンドのFRDとベースグレードのAdvancedの比較も含めたインプレは各モデルを乗り込んだ唐見選手ならではです。

 

Felt FRシリーズ

ハイエンドモデル Felt FR FRD Ultimate

カリフォルニアのバイクブランド、フェルトの軽量オールラウンドレーサー。レースロードに求められる高い軽量性、剛性に加えて、垂直方向に適度な柔軟性を与えたフレーム設計により、どんな状況でもタイヤを路面に接地させ、ライダーからの入力を逃さず推進力にする。同時にレースロードのレベルを超えた振動吸収性も併せ持っている。

カーボンフレームのグレードは「Ultimate+TeXtreme」(=FRD)と「Advanced+TeXtreme」がある。上級グレードのFRDはより剛性と強度が高いカーボンシートを使用しているだけでは無い。カーボンシートをより緻密な形状にカットして、より厳密な指示の元、開発にも携わる最高レベルの技術者のみが製造することを許される。

 

弱虫ペダルサイクリングチーム 唐見 実世子選手

弱虫ペダルサイクリングチーム所属

唐見選手は、2004年のアテネオリンピックに出場。33歳で引退したものの、2016年に弱虫ペダルサイクリングチームのプレイングコーチとして現役復帰。そして5年連続で実業団Jフェミニンツアーで総合優勝。今年の全日本選手権ではマスターズカテゴリーでロード、TT、MTB XCO、シクロクロスの4冠を成し遂げた。

体重50kg

2001 全日本シクロクロス選手権大会:優勝

2002 全日本シクロクロス選手権大会:優勝

2004 全日本選手権個人タイムトライアル:優勝、全日本選手権ロードレース:準優勝、アテネオリンピック個人ロードレース:41位

2005 全日本選手権個人タイムトライアル:優勝、全日本選手権ロードレース:準優勝

2016~2020 実業団Jフェミニン(女子)ツアー 個人総合優勝

2018 アジア選手権個人タイムトライアル:3位

2021 全日本選手権マスターズ ロードレース/個人タイムトライアル/MTB XCO/シクロクロス:優勝

 

“知る人ぞ知る、性能に優れたブランドっていう感じ”

2017年Jフェミニンツアー。バイクはFR1(=Advanced、リムブレーキ)

――唐見選手には2017年から5年もフェルトのバイクに乗っていただいていますが、フェルトのバイクとかブランドって全体的にどんな印象ですか?

例えば、イタリアンバイクのすごい有名な会社とかアメリカンブランドとかいろいろあると思うんですけど、マニア受けするというか、しっかり走ってくれる。知る人ぞ知る、性能に優れたバイクブランドっていう感じですかね。

 

“やわらかいというわけでもなく、固すぎずっていうわけでもないので、そういうバランスがすごく良い”

――FR FRDにはどんな感想を持っていますか?

まずは重量的にとても軽くて、だけどやわらかいというわけでもなく、固すぎずっていうわけでもないので、そういうバランスがすごく良いと思います。あとは平地でも登りでも本当にどんなコースでもオールラウンドに対応できる1台だと思うんで、まずFR FRDを1台。最初に欲しい自転車です。

――これが1台あればどんなレースでもいけるという感じ?

とりあえずそれで行けて、あとちょっと攻めたい、例えば平地攻めたいとか、何か特性のあるコースになってくるとまた別で考えたらいいけど、基本的にどんなコースでもFR FRDで全部対処できちゃうから、まず1台はこれっていう自転車です。

 

“ディスクブレーキのFR FRDは下りが苦手な人でも必ず速くなる気がしますね”

2020年Jフェミニンツアー群馬。バイクはFR FRD Ultimate

――リムブレーキとディスクブレーキの両方のFR FRDを使用頂いていますが、違いは感じますか?

ディスクブレーキのFR FRDに関しては、下りが恐ろしく速くなりました!なんだろう、剛性なんですかね。今までの自転車よりも曲がりやすくなった気がします。速い速度でコーナリングできるようになりました。もちろんディスクブレーキだから攻められるっていうのもあるんですけどそれだけではなくて、スルーアクスルによる剛性の恩恵をこうむっているのかバランスの問題なのかは分からないですけど、下りが圧倒的に速くなりました。ディスクに乗り換えた3年前とかは下りでアタックしていました。そのぐらい自信をもって下りを進めるんです。それはFR FRDの大きい強みです。下りが苦手な人でも必ず速くなる気がしますね。

 

“リムの方がちょっとしなりやすいと思うんです。私の場合はリムの方が力がうまく伝えられている感じがします”

あとは、ディスクの方がスルーアクスルの影響なのかやっぱちょっと硬い印象がありますね。バランスがちょっと違うような。多分なんですけどリムの方がちょっとしなりやすいと思うんです。なので、上りでダンシングしたりとか、うまく自分の体重を使って走るっていう意味では、自分の力が逃げずにちゃんとフレームに伝わって、それが推進力に変わってる印象があります。余計な踏みをしなくてもいいというか、ずっと踏んでいられるし、回していられるし、ゴールまで脚も貯められてるしっていう印象があります。ただ私はもうそこまで筋力とかパワーとかないから、もしかしたら男子の場合はディスクの方が向いている人もいるかもしれません。とはいえリムで剛性が足りないとは思えないので、好みの問題なのかもしれないんだけど、私の場合はリムの方が力がうまく伝えられている感じがします。

――ちなみにディスクとリムだと重量も変わりますが、そこは何か走って感じる部分はありますか?

あえて言えば、やっぱり低速になったときというか、最初のスピードにのるまでがちょっと脚を使ってるような感じがあるかもしれないけど、致命傷になっているとは思わないです。それよりはさっきのバランスが変わる感じのほうが大きいと思います。

 

“Advancedは今でも本当に良かったと思ってます”

2019年ナショナルチームとして出場したビワセカップ。バイクはFR Advanced(ディスクブレーキ)

――FRDではなくAdvancedグレードを使っていた時期もありましたが、どういう差を感じますか?

いや、Advancedも良かったんですよ!十分であの自転車。良かったんですよ。バランスももちろん良くて。シャキシャキ感がもしかしたらFRDの方があるかなって感じがしますが、とっても良くて。私が若かったというのもあるんですけど、結局あの時に出したタイムがまだ出せていない(笑)。すごい、私の中ではとっても良かった記憶があります。でもFRDはここ一発っていう時にいいと思う。それを普段から惜しげもなく使ってますけど(笑) Advancedは今でも本当に良かったと思ってます。

――Advancedは具体的にどんなところが良かったですか?

やっぱりさっきのバランス、しなりとかそういう面かもしれないです。FRDの方がちょっと硬いと思います。Advancedの方がしなりがあって、かと言ってかかりが悪いっていうわけでもないんです。その剛性の違いは体が勝手に慣れていくものなんで、もししなるんだったらしなるなりのペダリングをするし、硬かったら硬いなりにギヤもちょっと軽くしてとかすると思うんだけど、そうだとしてもAdvancedは良かったですね。

――ちなみにFRDでもAdvancedでも好きなほうを選べたら?

あ、そしたらFRDにさせてもらいます(笑)。でもAdvancedしか無いって言われても大丈夫。全然遜色ないです。

 

“特に初心者とか女子はFRのディスクに乗るといいと思います”

――FRシリーズに共通して感じることはありますか?

バランスが良く、誰でも走らせやすいということが、グレードやリム、ディスクに関わらず共通している点です。これって贅沢な話ですね(笑)。特に初心者とか女子はFRのディスクに乗るといいと思います。みんな下りが苦手なんで。ディスクブレーキだったらちょっと恐怖心が減って、下りもしっかり下れるようになります。その後に他の自転車に乗り換えても、掴んだコーナーリングのコツは活かせるはずです。だからバランスの良いFRのディスクブレーキ、安定感のある自転車でとりあえず練習するとすごいいいと思います。

 

“とりあえずこれだけ乗りこなしたらもう全部いけるぜって思って、それで気持ちに余裕ができるんです”

――最後に、FR FRDここが一番好きみたいなポイントを教えてもらえますか?

オールラウンドにもう何でもこの1台で使えちゃうってことですね。乗りこなせたらもう基本どこでもOKってなるから、そしたら安心感が生まれるじゃないですか。とりあえずこれだけ乗りこなしたらもう全部いけるぜって思って、それで気持ちに余裕ができるんです。安心感なんです。そういう1台です。

 

“新しい自分を見て、まだ貪欲な自分もいてっていう模索の年でした”

――今日の全日本シクロクロスで2021シーズン終了ですが、今シーズン振り返ってコメントをお願いします。

今シーズンは調子よかったんです。調子が良くて、しかもコーチもつけてもらえたので、一緒に練習メニューを考えてもらったり、体調のことも考えてもらったりして、すごい調子が上がってきてたんですよね。それでいい年になるだろうなって思っていたんですけど、それと同時に年齢をすごい感じる年になってしまって(笑)。なので自転車乗ってりゃいいっていう問題でもなくなってきたんで、自転車との向き合い方というか、自分の体と対話しながらやりすぎず、でもパフォーマンスの向上を求めてっていうすごい難しい年でした。だけど、逆に今年いろいろ体調のことも理解しながら走れたんで、来年はまたちょっといい走りができたらいいというか、いろいろなことに挑戦して、自分のもうちょっと一歩、上を目指してみたいと思っています。新しい自分を見て、まだ貪欲な自分もいてっていう模索の年でした。

――ありがとうございます。明日からはオフになるんですか?

一応12月いっぱいはオフかな。でも1月入ると合宿とか始まっちゃうんで、多分12月いっぱいですかね。堪能します!

Felt FR Carbon ページ

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