ロードバイク用タイヤが1本1万円を超える時代になりました。タイヤは最も走行性能に影響するパーツの一つだし仕方がないと思いつつも、「消耗品にそこまで払うべきなのか」と感じている方も多いはずです。もし、価格はミドルグレード、性能はハイエンド級のタイヤがあったら——。
そこで思い出したのがSERFAS セカレーシングRS。ミドルグレード以下の価格でハイエンドと同等の性能を持つと評価されている、知る人ぞ知るタイヤです。とは言え、10年以上前からラインナップされているモデルですし、この10年で大きく変化したカーボンフレーム、ディスクブレーキ、ワイドリムといったロードバイクのトレンドに対応するかも疑問でした。セカレーシングRSは名より実を取るロード乗りの救世主となるのか。いま改めてインプレします。

中学生からのスポーツバイク歴は20年以上。父となった現在はヒルクライムレースメインで、グラベルキャンプツーリングや年間数戦のシクロクロスも。
・Mt.富士ヒルクライム ベスト66分
・ツールドおきなわ市民210km 完走
目次
セカレーシングRS
サーファスはアメリカのパーツ&アクセサリーブランド。サイクリングを快適にするアイテムを手の届きやすい価格でラインナップしています。中でもタイヤは定評あるカテゴリーで、価格を超えるその性能は多くのショップの定番タイヤになっていることからも証明されています。セカレーシングRSは、ラインナップ中でハイエンドのロードバイク用クリンチャータイヤ。
大きな特徴は、センター部分とサイド部分でゴムを変えた「デュアルデンシティ」コンパウンド。センターは硬めの68デュロメーター(硬さの単位)で転がりの軽さと高い耐久性を実現。サイドは柔らかめの58デュロメーターで、コーナリングの高いグリップも両立させています。
もう一つは、突き刺しパンクやカットパンクのリスクを軽減する「FPS」。コンパウンド下に防弾チョッキにも使われる強靭なバリスティックナイロンを内蔵しています。ケーシングは120tpiで、多くの他社ハイエンドと同等。
実測重量は2本の平均253g(25c)とまずまず。特筆すべきは接地面のタイヤ厚みが4〜5mmもあること。使用できる距離はかなり長そうです。2020年改定の新ETRTO規格で基準となっている内幅19mmのリムに25cを装着したところ、タイヤ幅は実測25.2mmとほぼ規格通りでした。ラインナップは23cと25cです。
セカというモデル名はサーファス創業の地、カリフォルニアにあるサーキット「ラグナ・セカ」から来ているのでしょう。言われてみれば大きくプリントされたロゴはモータースポーツをイメージさせます。ダークグレーのロゴは最近のシンプルなグラフィックのバイクに履かせても違和感ありません。
テストライダー
身長:174cm
体重:59kg
FTP:推定266w 4.5w/kg
ライドスタイル:山岳ロング、ヒルクライムレース、ロードレース
一定パワーでタイム比較〜ヒルクライム〜
セカレーシングRSはハイエンドタイヤに匹敵する性能があるのか?それを明らかにするにはパワーメーターを使用してタイム比較をするのが最も手っ取り早いでしょう。
比較対象
SERFAS セカレーシングRS 25c
チューブ:TPU
空気圧:フロント 3.6 リア 3.8
実測重量:253g
TPI:120
価格:メーカー希望¥5,280(税込) ※2026年1月9日現在
他社ハイエンドクリンチャー 25c
チューブ:TPU
空気圧:フロント 4.8 リア 5.0
実測重量:217g
TPI:120
価格:約1万円
海外の転がり抵抗テストでトップの数値を出しているハイエンドクリンチャータイヤです。
※空気圧は同程度の固さになるよう設定。セカレーシングRSはタイヤ剛性が高いため空気圧を低くしています。
テスト条件
・距離0.74km、獲得標高63m
・可能な限り240w一定パワーで走行
・シッティングかつ可能な限りライディングポジションを固定
・ウェアは同条件(長袖メッシュジャージ、サーマルアンダー、カーゴビブショーツ、ニーウォーマー、BBBレースシールドグローブ、LUMOSウルトラフライヘルメット、FLR F-9シューズ)
・携帯品も同条件(ボトル1本、ウインドジャケット、ツールポーチ、Crankbrothersクリックhpポンプ、財布、鍵、どら焼き1個、塩羊羹2個)
今回は私の常用パワーであり、一般ライダーにとって現実味のある240w目標で走行した時のタイムを比較します。
結果
感覚的には両者で大きな差は感じませんでしたが、実際のタイムはセカレーシングRSが明らかに速くて驚きました。同パワーの場合、セカレーシングの方が速く、より低いパワーでも他社ハイエンドと同タイムが出ています。
パワーが上下にブレている結果を除いて平均245wに整えたのが下記です。
3分20秒前後のヒルクライムで、約5秒差。
この差を獲得標高1,255mのMt.富士ヒルクライムに単純換算すると、
約1分40秒の差になります。
タイヤを替えただけで、です。
一定パワーでタイム比較〜平坦〜
当初、テストはヒルクライムのみで実施する予定でしたが、にわかには信じがたい結果が出てしまったため、平坦でも実施することにしました。
テスト条件
・距離0.86km 平地直線(最大2%の勾配あり)
・可能な限り240w一定パワーで走行
・風向きの影響を考慮するため往路(東進)と復路(西進)をそれぞれ計測
・シッティングかつ可能な限りライディングポジションを固定
・ウェアは同条件(長袖裏起毛ジャージ、サーマルアンダー、ビブショーツ、ニーウォーマー、BBBレースシールドグローブ、LUMOSウルトラフライヘルメット、FLR F-9シューズ)
・携帯品も同条件(ボトル1本、ツールポーチ、Crankbrothersクリックhpポンプ、財布、鍵)
結果
※パワー降順にて表示
平坦においては風向きの影響を受けやすいためか、パワーとタイムともにばらつきが大きく、正確に結論を出せるデータが取れませんでした。(同じウェア条件で走るにはもう寒すぎてテストの継続を断念…)
それでも平地においても両者に有意な差は無いことが確認できたのではないでしょうか。平坦のテストは今後の宿題とさせてください。
インプレッション
ここからはインプレッション(=感覚的な印象)です。総走行距離は335kmでした。
登り
まずはヒルクライム。重量が比較対象の他社ハイエンドタイヤより重いので走りも重く感じそうですが、想像に反してスイスイかつ確実に路面を掴んで進む感覚があります。特にダンシングのフリが軽快です。タイヤ剛性が高いので、バイクを激しく振ってもタイヤ潰れずロスなく進んでくれます。
平坦
平坦に関しては比較対象の他社ハイエンドタイヤの方が感覚的には軽快に感じました。セカレーシングRSはコンパウンドが柔らかくグリップ性能が高い(後述)ため、そう感じたのかもしれません。ただ上記の平坦テストでは明確な差がありませんでした。感覚とデータは必ずしも一致しないというのが面白いところです。
コーナーリング
グリップ力は比較対象の他社ハイエンドタイヤより明らかに優れています。コーナーでよりイン側を曲がれるので、自信を持ってコーナーに侵入できます。こういったコストパフォーマンスに優れたタイヤってグリップ力が不足していることが往々にしてあるのですが、セカレーシングRSにその心配は無用です。セカレーシングRSは、しなやかさでグリップするタイプではなく、しっかりとしたベース+ハイグリップコンパウンド(ゴム)でグリップ力を確保しているタイプです。先に説明したように、センターとサイドでコンパウンドの硬さを変えた「デュアルデンシティ」なのですが、センター部分にも比較的柔らかくてグリップの高いコンパウンドを採用しているように感じました。実は他社ハイエンドタイヤもデュアルデンシティ構造なのですが、センターにはセカレーシングより硬めのコンパウンドを採用して転がりの軽さと耐摩耗性を狙っていると思われます。確かに感覚的には軽いのですが、実際の走行テストでは有意な差が確認できなかったのは前述のテストの通りです。現実の走行環境ではグリップが高い方が駆動力を路面に確実に伝えててくれるので速い、ということもあるのかもしれません。
振動吸収性
タイヤ剛性が高いので乗り心地は悪いかもと想像したのですが、意外と普通な及第点です。しなやかで乗り心地が良いタイヤではありませんが、柔らかくて厚みのあるゴムが振動を吸収している印象で、十分な快適性を備えています。
耐久性
現在のところ335km使用しましたが、表面のカットや傷は入っていません。柔らかめのコンパウンドは傷が入りやすいことも多いですが、セカレーシングの場合はそういうことはありませんでした。タイヤ全体も剛性高めのしっかりとした造りで、耐パンクベルト「FPS」も入っているため、耐久性には信頼が置けます。接地面のタイヤ厚みが4〜5mmもあるので、使用できる距離にも期待できそうです。
その他
性能とは関係ない点ですが、一般的なハイエンドタイヤが立派な化粧箱に入っているのに対し、セカレーシングRSは、剝き出しのタイヤ本体をタイラップでプラスチックタグにまとめただけの簡素な梱包です。こういったこともコスパが高い理由の一つと推察します。
まとめ
SERFAS セカレーシングRSは、
-
高価なハイエンドタイヤと同等、あるいは条件次第でそれ以上の実走性能
-
レースでも使えるトップレベルのグリップ力
-
トレーニングに使い倒せる耐久性
を兼ね備えた、「名より実」を取るロード乗りのためのタイヤです。
トレーニング用途にはもちろん、実戦投入にも十分おすすめできる1本と断言できます。













