ロングライドへ行こう!~その26 ロードバイク シフトワイヤー交換と変速機の調整方法~

こんにちは。
ロングライダーのアッキーラです。

皆さんは、楽しい自転車生活を送ってますでしょうか。

シフトワイヤーの交換手順
変速機の調整を写真付きで紹介

「シフトワイヤーが古くなったので交換したい。」
「前後の変速機は、調整が難しいでしょうか?」
「自転車の変速の仕組みって、どうなっているの?。」
と、考える方は、いらっしゃいますか?

今回は、シフトワイヤーの交換と変速機の調整方法を写真付きで紹介します。
変速の仕組みも簡単に説明します。
シフトワイヤーの交換は、専門知識と経験が必要です。
初心者の方は、自転車専門店での交換作業をオススメします。

今回の教材として、私の相棒・FELT Z35(2009年モデル)を使用します。
組み付けている変速コンポーネントは、シマノさんの9000系DURA-ACE(11段変速)です。

それでは、早速取り掛かりましょう。

1.作業に必要な工具と道具を用意する。

作業に必要な工具と道具を用意します。
(1)両挟み型バイクスタンド(後輪が地面から離れるタイプ) 1台
(2)新品のシフトワイヤー 2本
(3)マイナスドライバー(#1) 1本
(4)4mmアーレンキー 1本
(5)ペンチ 1本
(6)ラジオペンチ 1本
(7)ワイヤーカッター 1本
※マイナスドライバーは、ボルトの溝を潰さないために使用します。
※工具は、前後の変速機に合わせて必要な物を用意してください。

2.作業場所を確保する。

作業を行うのに充分な場所を確保します。
最低でもおよそ3平方メートル(畳2枚分)くらいあればいいでしょう。

3.後輪を再固定する。

写真のように、リアホイールのクイックリリースレバーを一旦緩めて、リアホイールをフレームのリアエンドに正しくはめ直します。
もし、リアホイールが正しくはめられてない場合、正しく変速できない恐れがあります。

4.両挟みバイクスタンドを自転車に取り付ける。

両挟みバイクスタンドを拡げて、リアホイールのクイックリリースレバーを両側から挟み込むように取り付けます。

5.フロントディレーラーを変速する。

フロント側シフターの変速解除レバーを複数回操作して、フロント側シフターを1段目に変速します。
この時、クランクを正回転させて、チェーンがギア1段目(インナーギア)に来るまで変速します。

6.リアディレーラーを変速する。

リア側シフターの変速解除レバーを複数回操作して、リア側シフターを1段目に変速します。
この時、クランクを正回転させて、チェーンがギア1段目(トップギア)に来るまで変速します。

7.前後のシフトワイヤーを取り外す。

(1)フロント側シフトワイヤーを取り外す。
フロント側シフトワイヤーの先端に付いたワイヤーキャップをペンチで外します。
そして、フロントディレイラーにあるフロント側シフトワイヤー固定ボルトを緩めます。
フロント側シフトワイヤーをダウンチューブ下側から引き抜いて外します。

(2)リア側シフトワイヤーを取り外す。
リア側シフトワイヤーの先端に付いたワイヤーキャップをペンチで外します。
そして、リアディレイラーにあるリア側シフトワイヤー固定ボルトを緩めます。
リア側シフトワイヤーをダウンチューブ下側から引き抜いて外します。

(3)リア側シフターからリア側シフトワイヤーをラジオペンチで抜き取る。
リア側シフターのブラケットカバーをめくると、シフトワイヤーの差込口がブラケット外側部分にあります。
リア側シフトワイヤーを押し出すと、先端の金属部分(『タイコ』と呼びます。)が差し込み口から飛び出てきます。
このタイコをラジオペンチでつまんで引き抜きます。

(4)フロント側シフターからフロント側シフトワイヤーをラジオペンチで抜き取る。
リア側シフターと同じように、シフトワイヤーの差込口がフロント側シフターのブラケット外側部分にあります。
フロント側シフトワイヤーを押し出すと、タイコが差し込み口から飛び出てきます。
このタイコをラジオペンチでつまんで引き抜きます。

8.前後のシフトワイヤー調整ボルトを時計方向に回す。

(1)フロント側アウターワイヤーにあるフロント側シフトワイヤー調整ボルトを時計方向に動かなくなるまで回す。
※フロント側シフトワイヤー調整ボルトは、取付場所がシフターによって異なります。
メーカーの取扱説明書をご参照ください。

(2)リアディレーラーにあるリア側シフトワイヤー調整ボルトを時計方向に動かなくなるまで回す。
※リア側シフトワイヤー調整ボルトは、取付場所がシフターやディレーラーによって異なります。
メーカーの取扱説明書をご参照ください。

9.フロントディレイラーの取付位置を確認する。

フロントディレイラーを次の2つの取付位置になるように正しく取り付けられているか確認します。
・フロントディレイラーにあるチェーンガイド外側プレートの平らな部分は、チェーンホイールのアウターギア(右クランクの大ギア)の真上位置でアウターギアと平行にする。
・フロントディレイラーにあるチェーンガイド外側プレートの前端とチェーンホイールのアウターギア(右クランクの大ギア)にあるギア歯先端の間隔が1~3mm以内にする。
※取付位置の詳細は、メーカーの取扱説明書をご参照ください。

10.リプレースエンドとリアディレーラーの取付位置を確認する。

完成車が垂直に立った状態で、リアディレイラーを取り付けているリプレースエンドが曲がっていないか確認します。
この時、カセットスプロケットのトップギアとリアディレイラーのガイトプーリーと同・テンションプーリーが一つの垂線で通るか目視で確認します。
もし、リプレースエンドが変形している場合、リプレースエンドを正常なものと交換します。
リプレースエンドの曲がりは、リプレースエンド修正工具で直さないでください。
もし、リプレースエンドをリプレースエンド修正工具で直すと、リプレースエンド自体の強度が落ちるからです。
※リアディレーラー取付位置の詳細は、メーカーの取扱説明書をご参照ください。

11.リアディレイラーのトップギアの位置を設定する。

リアディレイラーにあるトップアジャストボルトをマイナスドライバーで時計方向に回して、チェーンがトップギアから1段大きいギア(トップから数えて2段目)に変速します。
その後、トップアジャストボルトを反時計方向に回して、チェーンがトップギアに変速するまで確認します。
トップアジャストボルトは、ここから反時計方向にさらに3/4回転回すと、リアディレイラーのトップギアの最適位置となります。

私は、アジャストボルトを回すのにマイナスドライバーを好んで使っています。
これは、アジャストボルトを何回転回したか数えやすくするためです。

12.新しいシフトワイヤーをリアディレーラーに取り付ける。

(1)新しく購入したシフトワイヤーを開封する。
ケースの中は、シフトワイヤー1本とワイヤーキャップ1個が入っています。

(2)リア側シフターにあるケーブルカバーを外す。
ケーブルカバーがリア側シフターのブラケット内側部分にあります。
リア側シフトワイヤーを通すため、ケーブルカバーを外します。
ケーブルカバーを紛失しないように注意しましょう。

(3)新しいシフトワイヤーをブラケットに通す。
新しいシフトワイヤーをリア側シフターのブラケット外側部分にあるシフトワイヤー差込口から差し込みます。
この時、シフトワイヤーをブラケット内側へ貫通させます。

(4)新しいシフトワイヤーをブラケット内側へ送り続けて、後端のタイコ部分をリア側シフター内部にあるタイコ受け部分に差し込む。
新しいシフトワイヤーをブラケット内側へ送り続けます。
この時、リア側シフターの変速解除レバーを複数回操作して、ギアが1段目にあることをきちんと確認しましょう。
そして、新しいシフトワイヤーの後端にあるタイコ部分をリア側シフター内部にあるタイコ受け部分に差し込みます。

(5)新しいシフトワイヤーの向きを変えて、バーテープ内部に隠れたアウターワイヤーの中に差し込む。
新しいシフトワイヤーの向きを90度変えて、バーテープ内部に隠れたアウターワイヤーの中に差し込んでいきます。
アウターワイヤーは直接確認できません。
新しいシフトワイヤーの先端でツンツンと指しながら、指先に伝わる感覚でアウターワイヤーの差込口を探り当てましょう。
新しいシフトワイヤーがスススッと何の抵抗もなく滑るように先へ進んだら、新しいシフトワイヤーを先へ送りましょう。
そのうち、新しいシフトワイヤーの先端がダウンチューブ下側にあるリア側シフトワイヤー調整ボルトから飛び出てきます。

(6)新しいシフトワイヤーをBB下のBBワイヤーガイドに通す。
新しいシフトワイヤーをBB下のBBワイヤーガイドに通します。
写真では新しいシフトワイヤーをBBワイヤーガイドの左側に通しているように見えますが、進行方向に対して右側に通しましょう。

(7)新しいシフトワイヤーをリアディレーラー側のアウターワイヤーに通して、リアディレーラーに固定する。
新しいシフトワイヤーをリアディレーラー側にあるアウターワイヤーに通して、リアディレーラーに固定します。

(8)新しいシフトワイヤーの余分な部分をワイヤーカッターで切り落とす。
新しいシフトワイヤーは、あらかじめ長く作られています。
新しいシフトワイヤーは、リアディレーラーにあるシフトワイヤー固定ボルトからおよそ5cmくらい余分に残して、ワイヤーカッターで切り落とします。
切り落としたシフトワイヤーの先端は、安全のために付属のワイヤーキャップを取り付けましょう。

もし、新しいシフトワイヤーの先端がバラけてしまった場合、ペンチでシフトワイヤーの先端部分を挟んで、ペンチを手で回しながら引っ張りましょう。
そうすると、シフトワイヤーの先端部分が元通りになります。

13.リア側シフトワイヤーの初期伸びを解消する。

リア側変速レバーを操作して、リア側シフトワイヤーを引っ張って、初期伸びを解消します。
初期伸びが出たら、リアディレイラーにあるシフトワイヤー固定ボルトを緩めて、リア側シフトワイヤーを張り直して再固定します。
この作業をやり忘れると、リア側シフトワイヤーが弛んでいるため、リア側変速レバーをいくら操作しても、リアディレーラーが正しく変速できない恐れがあります。

ご存知かと思いますが、リアディレーラーは内蔵されたスプリングの力でトップギアの位置に留まろうとします。
(一部のリアディレーラーは、ローギアの位置に留まるものもあります。)
リア側シフターは、リア側シフトワイヤーを介してリアディレーラーをローギアへ引っ張り上げています。
このため、リア側シフトワイヤーは、両者の間で適切な張り具合を維持しなければ、正常なリア側変速を実現できません。

14.リア側シフトワイヤーを操作して、ローギアへ変速する。

クランクを正回転しながら、リア側シフターにある変速レバーを複数回操作して、チェーンがローギアに来るまで変速します。

15.リアディレイラーのローギアの位置を設定する。

リア側シフターにある変速レバーを操作しながら、リアディレーラーにあるローアジャストボルトをマイナスドライバーで調整します。
次の3つの変速状態にならなければ、リアディレイラーのローギアの最適位置となります。

・チェーンがローギアにあり、かつ、リア側シフターにある変速レバーを最大以上に操作するとリアディレイラーがローギアより内側に動く状態になる場合
リア側シフターの動きにつられて、リアディレイラーが既定のローギア位置よりさらに内側に動こうとしている可能性があります。
ローアジャストボルトを時計方向に回して、リアディレーラーがローギアより内側に動かなくなることを確認します。

・リア側シフターにある変速レバーを最大に操作しても、チェーンがローギアに変速しない状態になる場合
リア側シフトワイヤーの初期伸びがまだ解消してない、または、リアディレーラーにあるリア側シフトワイヤー固定ボルトが緩んでいる可能性があります。
リア側シフターの変速解除レバーを操作して、チェーンをトップギアに変速し、リア側シフトワイヤー固定ボルトを一旦緩めて、リア側シフトワイヤーを張り直します。

・クランクを逆回転した時、リアディレイラーにあるガイドプーリー付近がゴトゴトと動く状態になる場合
ローギアとガイドプーリーとの間隔が狭くて、チェーン詰まりを起こしている可能性があります。
リアディレイラーを上方に持ち上げて、リアディレーラーにあるBテンションボルトをマイナスドライバーで時計方向に回して、チェーン詰まりが解消することを確認します。

16.フロントディレイラーのローギアの位置を設定する。

クランクを正回転しながら、フロントディレイラーにあるインナーアジャストボルトをマイナスドライバーで調整します。
次の調整位置になれば、フロントディレイラーのインナーギアの最適位置となります。
・フロントディレイラーにあるチェーンガイド内側プレートとチェーンの左側面との間隔が0~0.5mm以内にする。

17.新しいシフトワイヤーをフロントディレーラーに取り付ける。

(1)新しいシフトワイヤーをフロント側シフターに通す。
フロント側シフターも同じように新しいシフトワイヤーを通します。
ケーブルカバーがフロント側シフターのブラケット内側部分にあります。
フロント側シフトワイヤーを通すため、ケーブルカバーを外します。

(2)新しいシフトワイヤーをフロント側シフターに通したら、ドロップハンドルバーに隠れたアウターワイヤーの中に通す。

(3)新しいシフトワイヤーをBB下のBBワイヤーガイドに通す。
次は、進行方向に対して左側に通しましょう。

(4)新しいシフトワイヤーをフロントディレーラーに固定する。

(5)新しいシフトワイヤーの余分な部分をワイヤーカッターで切り落とす。
新しいシフトワイヤーは、フロントディレーラーにあるシフトワイヤー固定ボルトからおよそ5cmくらい余分に残して、ワイヤーカッターで切り落とします。
切り落としたシフトワイヤーの先端は、安全のために付属のワイヤーキャップを取り付けましょう。

18.フロント側シフトワイヤーの初期伸びを解消する。

フロント側変速レバーを操作して、フロント側シフトワイヤーを引っ張って、初期伸びを解消します。
初期伸びが出たら、フロントディレイラーにあるシフトワイヤー固定ボルトを緩めて、フロント側シフトワイヤーを張り直して再固定します。
この作業をやり忘れると、フロント側シフトワイヤーが弛んでいるため、フロント側変速レバーをいくら操作しても、フロントディレーラーが正しく変速できない恐れがあります。

ご存知かと思いますが、フロントディレーラーは内蔵されたスプリングの力でインナーギアの位置に留まろうとします。
フロント側シフターは、フロント側シフトワイヤーを介してフロントディレーラーをアウターギアへ引っ張り上げています。
このため、フロント側シフトワイヤーは、両者の間で適切な張り具合を維持しなければ、正常なフロント側変速を実現できません。

19.フロント側シフターを固定して、アウターギアへ変速する。

クランクを正回転しながら、リア側シフターにある変速レバーを複数回操作して、チェーンがトップギアに来るまで変速します。
フロント側シフターにある変速レバーを操作して、チェーンがアウターギアに来るまで変速します。
次の2つの変速状態になる場合、フロントディレーラーを調整します。
・チェーンがアウターギアの外側に脱落する場合
フロント側シフターの動きにつられて、フロントディレイラーが既定のアウターギア位置よりさらに外側に動こうとしている可能性があります。
フロントディレイラーにあるアウターアジャストボルトをマイナスドライバーで調整します。
フロント側シフターにある変速レバーを操作しながら、アウターアジャストボルトを時計方向にまわして、フロントディレーラーにあるチェーンガイドがアウターギアの位置より外側に動かなくなることを確認します。

・チェーンがアウターギアに変速しない場合
フロント側シフトワイヤーの初期伸びがまだ解消してない、または、フロントディレーラーにあるフロント側シフトワイヤー固定ボルトが緩んでいる可能性があります。
フロント側シフターの変速解除レバーを操作して、チェーンをインナーギアに変速し、フロント側シフトワイヤー固定ボルトを一旦緩めて、フロント側シフトワイヤーを張り直します。

クランクを正回転しながら、リア側シフターにある変速レバーを複数回操作して、チェーンがトップギアに来るまで変速します。
この時、チェーンがアウターギアにあって、フロントディレーラーのチェーンガイド外側プレートがチェーンと接触する場合、フロント側シフトワイヤーの張り具合がわずかに足りない可能性があります。

その場合、フロント側シフトワイヤー調整ボルトを反時計方向に回して、フロント側シフトワイヤーの張り具合を強くします。

20.トリム位置を調整する。

ロードバイクのフロントディレイラーを調整する場合、トリム調整を行います。
クランクを正回転して、前後のギア位置をフロント・アウターギア×リア・ローギアに変速します。
フロント側シフターにある変速解除レバーを半押しして、次の2点を確認します。
・フロントディレイラーが内側へわずかに動く。
・フロントディレイラーにあるチェーンガイド内側プレートとチェーンとの接触による音鳴りが解消する。

ここでフロント側シフターにある変速解除レバーを半押ししても、チェーンがインナーギアに変速する場合、フロント側インナーワイヤーの張り具合が強すぎる可能性があります。
フロントディレーラーにあるフロント側シフトワイヤー固定ボルトを一旦緩めて、フロント側シフトワイヤーの張り具合を少しだけ緩めましょう。
フロント側シフトワイヤーの張り具合を少しだけ緩めたら、フロントディレーラーにあるフロント側シフトワイヤー固定ボルトを再度締め直します。

フロント側シフトワイヤー調整ボルトを回して、トリム調整が行えるようにフロント側シフトワイヤーの張り具合を調整しましょう。

21.リア側変速の各ギアの変速位置を調整する。

(1)クランクを正回転させて、フロント側シフターの変速解除レバーを複数回操作して、チェーンがギア1段目(インナーギア)に来るまで変速する。

(2)クランクを正回転させて、リア側シフターの変速レバーを1回操作して、チェーンがトップギアから1段大きいギア(トップギアから数えて2段目)に変速する。

(3)リア側シフターの変速レバーを弱い力で1回操作して、現在の位置から1段大きいギア(トップギアから数えて3段目)に変わる直前の遊び位置に動かす。

チェーンが次の2つの変速状態になる場合、リアディレイラーにあるワイヤーテンション調整ボルトをそれぞれ調整します。
・チェーンが全く変速しない状態になる場合
リアディレイラーにあるワイヤーテンション調整ボルトを反時計方向に回します。
チェーンが現在の位置から1段大きいギア(トップギアから数えて3段目)と接触せずに音鳴りが発生しない位置に調整します。

・チェーンが現在の位置から1段大きいギア(トップギアから数えて3段目)に変速する状態になる場合
リアディレイラーにあるワイヤーテンション調整ボルトを時計方向に回します。
もしワイヤーテンション調整ボルトを回せない場合、リア側シフトワイヤーの張り具合が強すぎる可能性があります。
リアディレーラーにあるリア側シフトワイヤー固定ボルトを一旦緩めて、リア側シフトワイヤーの張り具合を少しだけ緩めましょう。
この時、リア側変速解除レバーを操作して、チェーンをトップギアに変速します。
リア側シフトワイヤーの張り具合を少しだけ緩めたら、リアディレーラーにあるリア側シフトワイヤー固定ボルトを再度締め直します。
リア側変速レバーを操作して、チェーンをシフトダウンして元の2段目ギアに戻します。

今度は、リアディレイラーにあるワイヤーテンション調整ボルトを反時計方向に回して、現在の位置から1段大きいギア(トップギアから数えて3段目)と接触せずに音鳴りが発生しない位置に調整します。
目印は、
「チャリチャリチャリ・・・」
という変速特有の接触音が聴こえなくなるところです。

22.フロント側変速の最終確認を行う。

(1)クランクを正回転させて、リア側シフターの変速レバーを複数回操作して、カセットスプロケットの中間ギアに変速する。

(2)フロント側シフターを操作して、フロント側変速がインナーギアとアウターギアの間を正しく行えるか確認する。

(3)トリム調整が正しく行えるか確認する。

23.リア側変速の最終確認を行う。

(1)クランクを正回転させて、フロント側シフターの変速解除レバーを操作して、チェーンをインナーギアに変速する。

(2)リア側シフターを操作して、リア側変速がローギアからトップギアまで1段ずつ全体的に正しく行えるか確認する。

(3)クランクを正回転させて、フロント側シフターの変速レバーを1回操作して、チェーンをアウターギアに変速する。

(4)(2)を繰り返す。

変速の速さは、シフトアップを重視しましょう。
シフトアップは、リアディレーラーに内蔵されたスプリングの力だけでチェーンを動かします。
この時、リア側シフトワイヤーの張り具合が強すぎる場合、シフトアップしにくくなります。
「チャリチャリチャリチャリ、ガッチャンッ!」
という変速音を立てながら時間を掛けて、チェーンが次の段に移動します。

1段1段シフトアップする時、
「シュタンッ!シュタンッ!・・・」
と小刻みに素早く変速するように、リア側シフトワイヤーの張り具合を適度に調整しましょう。

一方、シフトダウンは乗り手が手の力を自由に変えて、リア側シフターの変速レバーを操作できます。
リア側シフターの変速レバーを動かした時、内蔵されたノッチに確実に引っかかるようにしましょう。
『ノッチ』とは、変速段数を維持する場所、「カチッ」という音がして変速位置を決める場所です。
この音がした時、自分が変速したいギア位置に確実にシフトダウンしていれば十分です。

フロント・アウターギア×リア・ローギアのギア位置は、歯数がどちらも大きいので、リアディレイラーとチェーンに過度の負担が掛かります。
その結果、乗車して走り続けると、リアディレーラーとチェーンを破損する恐れがあります。
このため、リアディレーラーとチェーンをフロント・アウターギア×リア・ローギアに変速して走り続ける必要はありません。

ここで変速調整の作業を終了します。

この変速調整は、『メカニックとしての腕前の見せ所』と言えるでしょう。
・・・私は自転車技士・自転車安全整備士の資格を持っていても、社内ではポンコツメカニックですけどね(笑)
( ̄▽ ̄;)

繰り返しになりますが、変速調整は『技術と経験』が求められる整備です。

最初はとても難しくて、何度やってもうまくいかないこともあります。
どうにもならない場合、自転車専門店へ整備をお願いしましょう。

何度も繰り返しながらコツを覚えて、要点を押さえて順番に実行すれば、確実に整備できるようになります。
自分で整備できるようになると、確実な変速が ”自転車の走り ”を変えてくれるでしょう。

例えば、上り坂を走る場合、より軽いギアへシフトダウンしやすくなって、体力を温存できます。
また、集団で平地を走る場合、より重いギアへ瞬時にシフトアップして、スピードアップした集団に速やかに喰らい付いていけます。

確実な変速は、変速不良による余分な摩耗を減らすので、変速を含む駆動系部品の寿命を延ばせます。
また、変速不良による事故やケガの可能性を減らす効果もあります。
長距離のロングライドで、あなたの相棒となる自転車が確実に変速できれば、完走の可能性が高まります。

つまり、あなたの相棒を確実に変速するように整備すれば、あなたの相棒はあなたの期待にきっと応えてくれるでしょう。

いかがですか?

確実な変速を実現するため、シフトワイヤーを交換して、前後の変速機を調整しましょう!

『I can go… as far as I want!
僕らはどこまでも行く
道が続く限りどこまでも行く
思い出すのは遠い昔、
初めて補助輪を外して走り出した時のこと
ロングライドは心の状態
10kmであれ
2400kmであれ
あなたにとって冒険ならば
それは立派なロングライドです』
※自転車ロングライドの同人誌『LONGRIDERS』より抜粋。

<参考文献>
(株)シマノ様 ディレーラーマニュアル フロントディレーラー DM-FD0002-05
(株)シマノ様 ディレーラーマニュアル リアディレーラー DM-RD0003-03
(株)シマノ様 ディレーラーマニュアル デュアルコントロールレバー DM-ST0002-04

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