ニセコクラシック 中村龍太郎

photo:Hideaki TAKAGI (cyclowired)

 

大学の自転車競技部の同期に道産子がいた影響からか、ちょいちょい北海道には行くことがあって、高校の修学旅行、11年TDH市民、12年TDH市民、15年同期結婚式、16年出張、と今回で6回を数える。

TDHは車でフェリーに揺られての移動だったが、あとは羽田or成田からの飛行機。
しかし今回は、茨城空港からの移動に挑戦。千葉の自宅からは車で1h30min。
大栄ICで降りてから1時間下道。信号が少ないので移動は余裕。
土曜日の8:35茨城→10:00新千歳のskymark便は\14900と割高。
ただ、月曜日8:55新千歳→10:20茨城は\5600と格安なので±0。
なお、skymarkは自転車で追加料金は無し(ただし預け荷物23kgに含まれる)。
特筆すべきは駐車場が何日停めても無料なのと、満車にならなそうなほど敷地が広いこと。
あと空港自体が地域特有の小ささなので、荷物がすぐに出てくる。
今回帰りは15分に着陸して、建物内に入ると既にお姉さんが自転車をもって待機しており、
補給並み早さで空港を脱し、車に10分後にはついており、午後には出勤をキメれた。
あとは北海道だけだと思っていたセイコーマート、通称セコマが空港の入り口交差点にあり、
行く前から北海道気分を味わえて、帰ってきても北海道気分の余韻に浸れる(だからなんだと言われればそれまで)。
移動時間を急がなければ快適な空港だと思いましたまる

暑い関東から1時間半。新千歳で飛行機を降りて「あー涼しい!」と言う準備が出来ていた僕は、降りて早々に「えっ何これ暑い!」と割と大きめの独り言がこぼす。

30℃を超える日が4日続くのは北海道で125年ぶりだそう。そんな記念すべき時に北海道にいられるなんて、運がいいんだか悪いんだか。
空港に迎えに来てくれた道産子の同期①の飲み会班エース”もっくん”が、半ズボンを土曜日から解禁したことからも異常さが分かった。
北海道に仕事で来ている同期②の信州ポーク”にっしー”も合流し、まずは苫小牧へ。
もっくんとにっしーは今回のレースには参加しないのにサポートとして来てくれた。本当にありがたい。まさかの一人に対して車二台というVIP待遇。
夕飯は合流して協議した結果、”苫小牧の海鮮とルスツ豚でBBQ”に決定したので、同じ宿に宿泊予定のフリーダムご一行の三人(店長、佐藤さん、佐野(弟)の勇人)を引き込む。
苫小牧の魚屋さんで食材調達の後、ホッキ丼を喰らう。北海道はやっぱり旨い。

会場に行く途中でルスツ豚含む肉を購入。そして受付時間には間に合わない。
でも大会のライダーズミーティングも遅れているようで、しかも他にも遅れている人がいたので、小言を言われながらも受付完了。
前輪がスローパンクしていたが、佐藤さんがvittoriaの旧盤のタイヤを持っていたことと、いつもタイヤを貼ってくれる店長がいてくれたので、安心して交換ができた。お二人ともありがとうございました。
野菜を切ってもらってBBQスタート。もっくんにっしーは走らないとして、佐藤さんの前にもビールの缶が並んでいく。あれ?
ホタテや、ハッカク、ツブ貝、エイヒレ、ルスツ豚セット…etc。まるでレース終わりの打ち上げかの如く豪華なBBQ。

うん、食いすぎである。終わるころには胃もたれ。片づけて、シャワーを浴びて部屋に戻ってきたら、僕以外の5人で仲良く近くの温泉へ行ってた。泣いた。
すぐに就寝といきたかったが爆撃機が二機部屋を旋回し始めたので上手く寝れず。
もっくんとニッシーの鼾の波状攻撃が徐々に徐々に重なっていって、ハーモニーになるかならないかのタイミングで
ニッシーの鼾が止まり、暫くたったらまた交互に鼾をかきだす。気にしてしまったら負けである。負けた。

次の日は5時に起きて準備開始。スタートは6:50とめちゃ早い。幸いスタート地点のすぐ下の宿だったので、自走でいける距離。

今回のニセコは社会人強豪レーサーが勢揃い。僕的には沖縄よりもこっちの方が距離が短いから勝てるかもしれないと思っていたけど、蓋開けてみたらそんなことは無かった。
出場資格はUCIポイントを持っているかどうか。仮にツールド熊野とかでUCIポイントを取っちゃったりしたらどうなるのだろう。オープン扱いかな?
総合に加えて年齢別になっており、19~34,35~39,40~44,45~49才…と細かい。19~34が若いから強いと思うなかれ。結局登りで生き残った19~32は僕だけだった。
140kmのラインレースで序盤は緩いアップダウンの後、12kmが神仙沼の登り。長い下りを経て補給所を通過後川沿いを走って海へ。
海をチラッとだけ見たらまた川沿いを上がって105kmから最後のアップダウン区間へ。
31km地点にスプリント賞、47km地点に山岳賞が設けられており、それぞれ1位通過で賞状と賞品をもらえる。
試走をしていないので登りが未知数。高岡さんや森本さんに聞いたら、最後の30kmしか試走していないとのこと。
「ラストのアップダウンは集団で流れるからクライマーには不利やな」という森本さんの言葉を信じると、神仙沼の登りで仕掛けてくるはず。
ステムにSP,神仙沼の登り35~47km,二か所ある補給所,最後のアップダウン区間開始105kmと書いて貼る。

年齢別でスタートになっており、1分差で出てくる。僕らは一番最初だったけど自転車並べるのは面倒なので後ろからスタート。
右側が空いていたのでリスク回避で上がっていく。下りきる前に先頭のシエルヴォの二人に並ぶ。
先導車が後ろを待っているのか、遅い。4km地点からレースが始まると言っていたので車に追突して転ばないように集中する。
青丸になってレーススタート。シエルヴォの小渡さんが集団を伸ばす。先頭でローテーションに入る。そうこうしていると後ろからスタートした高岡さんと森本さんが先頭にくる。
15km地点までアップダウンを繰り返しながら登り、その後5kmを一気に下る。北海道らしい(のか?)コーナーの緩い高速ダウンヒル。
道が細いわけではないが、単純にいつもよりも速いスピードが怖い。周りについていくと後ろから外人さんが「HEY」と言いながら抜いていった。
WALKRIDEの高橋さんがついていく。トップチューブに尻を落とし、すごいスピードで下る。
するとコーナーの後半のRがきつくなっている箇所で制御不能になり、芝生に突っ込んでいった。
コース知っているのかと思っていたので、離れているけどラインをトレースしていたので自分も慌ててブレーキ。タイヤが滑ることはなく事なきを得た。
コース全体を通して赤い「減速」看板が設置されており、コースが分からないので割と当てにするのだが、そこには立っていなかった。(し、大して危なくもないところに赤看板があったりして無駄にブレーキしたところもあった)
無事に下り切った登り返しで優勝候補の井上さんが真横でチェーン落ち。
緩いアップダウンを超え31km地点のSPが近づいてきた。
特になんでもないまっすぐな道路、しかも下り基調だったのでSP残り1km看板からはあっという間にラインが見えた。
35kmから未知の登りが始まるので、ココでスプリントしたら登りで置いていかれると思い、動かず。
店長が前に出てきたが、外人さんのスプリントをきっかけに全員が腰を上げる。
デカイ外人さんが先頭っぽいが、右からイナーメジャージが上がる!賑やかなカラーのEVADEは生田目さんだ。
ラインで二人ともハンドルを投げ合い、どっちが取ったかは後ろからはわからず。
暫くしてからタメさんが片手でガッツポーズ!森本さんと歓声をあげる。
戻ってきたタメさんを労い、勝負の登りへ。GARMINのGPSが狂いなく、35kmから登りが始まる。
富士ヒルを彷彿とさせる緩斜面で森本さんの動きにみんなが注意している。

photo:Hideaki TAKAGI (cyclowired)

このぐらいの勾配ならば、どちらかというと自分が得意。パワーで押し切って集団を千切ることもできそうだが、KOMの後90kmもある。
森本さんの番がくるとペースアップがあるが、余裕がある。
しかし我慢の限界で残り2kmで新井さんがペースを上げたところから、シッティングのまま踏む。
「あーダメダメダメ」と自制するもう一人の僕がいるが、景色もよく、気持ちよく踏めて楽しくなってくる。
後ろを振り返ると森本さんが差を埋めて来ていて我に返る。集団は6人に減った。
KOMまで1km看板を見て、欲が出てくる。田崎さんがスプリントを始めたので軽く躱し、余裕こいて踏むのやめたら反対側から岩島さんに抜かれた。

photo:Hideaki TAKAGI (cyclowired)

森本さんに「最後まで出し切れよぉ」と言われ、反省。
その先にもっくんとニッシーがいて、KOM獲ったぞ~と言えず、さらに凹む。ボトル投げようとしたら、まだ入っていたのでとりあえずハイタッチ。
長ーい下りは6人でローテ。下り切った先に補給所がある。
黒が水で白がスポドリ(だっけ?)と言われたので白を貰うと、速すぎたのか凄い音がした。補給員の方に怪我がないことを祈ります。

photo:Hideaki TAKAGI (cyclowired)

大会で用意されているボトルあるあるで中身がマズイというのがあるが、今回は割と美味しかった。

が、特殊な形状のボトルになっており、歯でキャップを引っこ抜いて飲めるようにするのが通常だが、今回のは外圧をかければそのまま飲める。
しかし歯でボトルを噛んで保持することができないので、落としそうになる。これには皆騙されて「なんだこりゃ!?」ってなってた。
70kmから105kmまでは平坦。後ろ12人との差が1分30秒から徐々に詰まってきた。勝負は105kmからのアップダウンなので追いつかれるのは問題ない。
むしろ今の6人ローテが地味にきついからASAPで追いついてくれと願っていた。
北海道らしくない暑さからか、神仙沼での調子の良さが消えていた。脱水の前兆だろうか。補給食は頻繁に食べていたのでハンガーノックは無さそう。

この辺りから70km参加者を抜いていく。片側一車線が基本なので若干狭いから、抜くときにふらっと寄って来ないか不安。

集団が見えだしたが、追いついたのは狙い澄ましたかのような105km地点。
追いつきざまに一人飛び出したのをきっかけに森本さんに火が付く。あっさりパスして、先頭で見えるのは森本さん高岡さん田崎さんの四人。後ろは知らん。
ペースを落としてほしかったので、森本さんの前に入ってダンシングで頑張って登っている感を出す。しかしすぐにバレて先頭交代。
高岡さんのペースアップの後にダンシング長めにペースアップ。しかし終わりの見えない坂。”アップダウン”だと思い込んでいたが、これは長い登りであった。
良く考えたら70kmのレースの山岳賞がこの先あることを考えると、この登りの長さも書いておくべきだった。結局およそ10kmの登り。
中盤で千切れる。が、前の三人が気づいていない、ので出力一定で距離を保って粘る…。
しかし高岡さんが後ろを振り向きジ・エンド。森本さんに何かを言って、するとみるみる差が開いていく…。心が折れる音がした。
後ろを振り返ると誰もいないので一人旅。バイクのおじさんが熱心にタイム差を教えてくれて、切なさが増すばかり。
いつまで続くのかわからない登り。メンタル×。前で高岡さんが千切れているのが見える。少し色めきだつけど、高岡さんは僕にはできない驚異的な粘りがあるので追いつかない。
長い下りを経ても差は広がるばかり。補給所過ぎてからの登りは5km程だが、これも距離が分からないのでチンタラ登る。
そうこうしていると後ろから岩島さんが追いついてきた。「あと少しでこの登りが終わるから、頑張ろう。長い登りはこれが最後だよ」と声をかけられ、
「この人、もしかして神か…?」と思うほどに心地よくその言葉が脳内を巡った。
不安からか「あそこの見えるところで終わりですか!?」と二回ほど聞いてごめんなさい。
そこからは岩島さんエスコートでグランヒラフの下までこれた。ほとんど牽いてもらったので、登りに入ってすぐに「ありがとうございました」と告げて先に行かせる。
総合3位以内でないから総合の表彰台もないし、年齢のカテゴリーも違うので争う必要が無いのである。
岩島さんも「年代別優勝おめでとう」と言ってくれて和やかな雰囲気。
何気なく後ろを振り返ると、青いヘルメットに黄色い自転車の人が、割と勢いよく上がってくる。
うーん、見覚えがあるな…。ふと蘇るチェーン落ちの音、あ、井上さんだ…。
前を走る岩島さんに「井上さんですかね?」と声をかけると、「来てるよ!」と焦りぎみに僕に言ってくる。
つまり岩島さんは関係なく、僕と同じクラスということである。やっべぇ年齢気にしていなかった!!!
岩島さんには申し訳ないが、パスしてそこからは全力でペダルを踏む。
何回も後ろを振り返りながら井上さんが諦めるのを待つ。残り100mはマジでキツカッタ…が無事に逃げ切った。総合4位の年代別優勝。

photo:Hideaki TAKAGI (cyclowired)

総合優勝は田崎さん!賞品はフランス、アルビで行われる世界戦への無料招待!凄いな!ビンタンの盾のみとは雲泥の差だ!!
目の前の人参があまりにも大きかったので、反省会にも熱が入る。

photo:Hideaki TAKAGI (cyclowired)

メダルはビンタンでもらっていたので、遥々岡山から応援に来てくれた婆ちゃんにあげる。ジャージはビンタンで手に入れられなかったから、嬉しい。
表彰台で井上さんに「気づかれなければ…」と言われて、本当にその通りだと思った。あと少し気づくのが遅かったら札幌で飲む酒が不味くなってたことだろう。
しかしコース自体はかなり面白かった。北海道らしくないクソ暑い中でのレースだったが、景色も良く、まっすぐに伸びた下りでは楽しくなって奇声を発するほど。
来年もまだもっくんとニッシーが北海道にいるようなので、また来年リベンジしたい。BBQはレース後にしようぜ!

今週末は松本で行われるJICF国際トラックに出場します。
土曜日のマディソンにりゅーたろーコンビで、日曜のオムニアムに出場予定。
思い出せ、トラックの走り方。

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